三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【雪と建物のコントラストの美を楽しむ】

2018年01月28日 07時19分52秒 | Weblog


北海道らしい冬の「花鳥風月」の楽しみに、
大雪が降ったあと、その痕跡が生み出す建物とのコントラストがある。
さらに言うと、そういう雪と折り合いを付けた除雪作業後の
建物と雪とのコントラストの美感もある。

建物の外側にはいろいろな材料が使われるけれど、
それらが雪の影響でその「素性」のままに見せる表情には個性がある。
わが家はボルトレス角波鉄板やレンガ、板張り、板金素材、木製窓などが、
外皮を構成しているけれど、
それぞれごとに雪の残り方に違いがある。
角波鉄板の場合には、その凹凸や方位によって、
雪の残り方のグラデーションが素材を強調するかのようで味わい深い。
とくに端部のあいまいな表情が数寄こころをくすぐってくれる。
それと対比的なタテのラインが強調されるのが屋根板金鉄板。
正面側では重ね合わせの部分が立ち上がっているので、
吹雪いた方向なりに、正直にその痕跡を見せてくれる。
また、よく北海道の住宅は無落雪で平板だと言われますが、
雪がこうして降ったあとには、きれいな水平ライン・スカイラインが
豊かな表情を感じさせてくれる。建物と雪と空の美感がある。
レンガ外壁にまではそれほど大きな痕跡が残っていなかったけれど、
こちらも素材自体の凹凸のままに刷毛のような表情が残ることが多い。
また、木製窓の窓枠まわりも、女性のアイラインのように
お化粧の様子を見せてくれてたのしい。
それぞれの端部にも、まるでお化粧したような白いラインが残る。
そういう雪を片付けて除雪すると、その作業の結果としての
一期一会のような建物と雪との折り合いの様子があらわれる。
ご近所同士、それらの様子をお互いに楽しんでいる部分もある。
わが家では主人のズボラさのままに除雪機材を無造作に置いているけれど、
そういう表情の付け方も、いわば人間っぽい表情も面白いのではと思っている。

雪国ではこういう人間と建物、自然が期せずして
ハーモニーを生み出してくれる。
日本人の大きな感受性資産といえる「花鳥風月」感に、こういった
北国的なものも加えていって欲しいと思うことがあります。
たまに隣居ではまだヨチヨチ歩きの坊やがこういう雪の表情を面白がって
「おれにも雪かき、手伝わせろ」とはしゃいでいたりする。
人間、こういう雪との付き合いの楽しみがわかるんだと思わされる。
・・・さて、ここのところ雪が続いていたのですが、
きのう、昨夜とどうやらひと山越えた感がある。
きのうもお伝えした明日からの日本建築学会ご一行の北海道住宅見学、
なんとかこのまま、平穏な気象状況でできたらいいなと祈念しています。
コメント
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