ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

東の果て、夜へ

2018-12-14 19:59:36 | 読書
ビル・ビバリー『東の果て、夜へ』






 帯を外してカバーを眺める。

 赤い文字で惹句がびっしり詰まった帯は目に痛く、外すと一気に静寂が訪れた。

 誰もいないガソリンスタンドの写真。

 手前の道路が白く見えるのは靄か、雪か。奥の山の斜面も白いので、雪だ。

 地元のスタンドというより、どこか見知らぬ土地に来た気分。

 左右いっぱいに広がった「夜へ」「果て、」「東の」の文字が、まだ旅の途中という思いにさせる。


 少年たちの奇妙な旅。

 これから人を殺しに行くという。

 不安定な人間関係と、心もとない情報。案の定、トラブルだ。

 人生に疲れ果てた大人のような1人の少年は、ときおり子どもっぽさを露呈する。

 この小説に希望が見える気がするのは、その一瞬だ。


 何度カバーを見ても、そのたび「夜へ果て東の」と読んでしまうので、最後までタイトルを正確に覚えられずにいたが、この本のことは忘れずにいよう。

 ほぼ完璧な小説なのだから。


 デザインは鈴木久美氏。(2018)


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