ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

すばらしい新世界

2018-12-30 18:17:20 | 読書
オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』





 書店の棚から文庫本を抜き、表紙を見て驚いた。

 真っ白な背景に、縦書きの文字だけが並んでいる。

 BRAVE NEW WORLD
 ALDOUS HUXLEY
 オルダル・ハクスリー(やや大きく)
 すばらしい新世界(一番大きく)
 [新訳版]
 大森望訳
 早川書房

 と、頭揃えで、左右いっぱいに行間を広げて配置されている。

 必要な文字が、これ以上なくシンプルに置かれているだけだが、しっかりと中央のタイトルが一番先に目に飛び込んでくる。

 これはすごい。

 デザインも、この案が採用されたことも。


 SF好きなら、読んでおくべき小説かもしれないが、ぼくはSFにそれほど執着がないので気に留めず生きてきた。

 それが何の偶然か手に取ってしまったのだから、読んだ方がいいだろう。


 これはすごい。

 体裁はSFだが、未来的なしかけはあまり気にならない。

 この小説は、人が生きていくなかで、どうしようもなく感じてしまう孤独について語っている。

 孤独を解消するために、人類がみな均等になってしまえばいいという発想。

 一人の独裁者のエゴを実現するディストピアとは違い、みなが平和で楽しく生きるための方策のひとつとしての未来を描いているのだ。

 デザインは水戸部功氏。(2017)
コメント
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