車谷長吉『愚か者』
『夫・車谷長吉』(高橋順子著)を買ったけれど、車谷長吉を読んだことがなかった。
でも、一冊だけ本を持っている。その『愚か者 畸篇小説集』を本棚から出してみた。
黒い函に入った本。
その表紙を見て、なぜこの本を買ったのか思い出した。
函の表1側に、タイトルを印刷した紙が貼ってある。
そこにはキャッチコピー、さらに価格とバーコードも入っている。
こんな変わった表紙をほかに知らない。
下のバーコード部分の背景は白だが、上3分の2は黒。
その中でタイトルは薄い黒で、全体の中でもっとも目立たない。
むしろ「お前も勉強しないで、あそんでいると、くるまたにさんみたいになってしまうよ。」という白抜きのコピーの方が目に飛び込んでくる。
本を抜き出していくと、水彩の自画像が出てくる。
青々した頭、真っ赤な頬、焦点の定まらない瞳。
それが天地いっぱいに、本の背側ぎりぎりに入っている。
全部出してみると、人物画は端に寄っていて、しかもタイトルなどの文字はなく、ほとんどは白い紙のまま。
黒い函とのコントラストに、もうこの本に満足してしまう。
絵は自画像かと思っていたが、味のある題字ともに村上豊氏の作。
装丁は鈴木成一デザイン室。
読んでみると、この本一冊では、とても車谷長吉を読んだとはいえないと感じる。
深い穴に落ちてしまうか、ここで踏みとどまるか。(2017)
『夫・車谷長吉』(高橋順子著)を買ったけれど、車谷長吉を読んだことがなかった。
でも、一冊だけ本を持っている。その『愚か者 畸篇小説集』を本棚から出してみた。
黒い函に入った本。
その表紙を見て、なぜこの本を買ったのか思い出した。
函の表1側に、タイトルを印刷した紙が貼ってある。
そこにはキャッチコピー、さらに価格とバーコードも入っている。
こんな変わった表紙をほかに知らない。
下のバーコード部分の背景は白だが、上3分の2は黒。
その中でタイトルは薄い黒で、全体の中でもっとも目立たない。
むしろ「お前も勉強しないで、あそんでいると、くるまたにさんみたいになってしまうよ。」という白抜きのコピーの方が目に飛び込んでくる。
本を抜き出していくと、水彩の自画像が出てくる。
青々した頭、真っ赤な頬、焦点の定まらない瞳。
それが天地いっぱいに、本の背側ぎりぎりに入っている。
全部出してみると、人物画は端に寄っていて、しかもタイトルなどの文字はなく、ほとんどは白い紙のまま。
黒い函とのコントラストに、もうこの本に満足してしまう。
絵は自画像かと思っていたが、味のある題字ともに村上豊氏の作。
装丁は鈴木成一デザイン室。
読んでみると、この本一冊では、とても車谷長吉を読んだとはいえないと感じる。
深い穴に落ちてしまうか、ここで踏みとどまるか。(2017)