私、完璧に夏バテかな~~~。
なんだかダルくって、仕事も遅々として進まない。一緒にランチしてた友人に「目の下クマクマやん~」と指摘される(クマはトシのせいさ)。リフォーム疲れかしら。
「これはいかん」と、昨夜は奮発して○○○○円もするウナギ蒲焼を買ってしまった。ジョニーもカバ焼き食べないかな。送ろかな。精つきまっせ(おっとっと)。皆さまは大丈夫でございますかしら。
世間は夏休みスタートなんですよね。学生さんとかね。いいね。7月中ってまだ「希望と余裕でウキウキ」だもんね。お盆過ぎたあたりから、「宿題」の存在がアレ、胸を締め付けるんですよね(笑)。
ということで、しばらくは「この夏にオススメの本・映画の話」を織り交ぜていこうと、ボンヤリ考えてたんですが、ちょっと今日は映画話を変更して「長野まゆみさん」のお話を。
私は、ジョニーのお誕生日の7月2日が「半夏生(はんげしょう)」であると前に書きましたが、これってどこかで聞いた言葉だな…と記憶の糸を辿っていくと、長野まゆみさんの「夏至祭(げしまつり)」という本を前に読んでいて、その中に「半夏生」が出てきたんですね。「ああ、なんて綺麗な言葉なんだろう」…と、ずっとずっと記憶の玉手箱の中にしまっていたのでした。
長野まゆみさんは、好きな人は果てしなくハマる…イメージの宝庫。おとぎ話。鏡の中の別世界のような、キラキラした叙情的な物語を書く人です。かなり熱狂的ファンを獲得してる有名作家ではないでしょうか。
少し少年愛なムードも漂ってて(12歳くらいの美少年二人連れがよく出てくる)、不思議な異世界へ冒険するお話が多いんですが、結構スピーディなのに古き良き時代の日本語が連綿と連なっている。少し、さわりを引用すると。
路面電車は藤紫(ふじむらさき)の薄闇の中を走っていた。窓越しにミシン工場の夜間照明がぽつぽつ点(とも)っているのが見える。紅玉(ルビー)のように点滅して、上空を飛来する航空機に障害物のあることを知らせていた。工場の屋上には車窓からも時刻が読めるほどの大時計が豆洋燈(ランプ)に照らされて浮かびあがっていた。
…土星と金星のあいだに切先の鋭い月がある。あと一週間もしないうちに夏至だ。路面電車を降りた月彦(つきひこ)は、いつものように電話局裏の路地を曲がってゆく。水銀燈の白光色が手首に巻きついた時計の文字盤を照らした。表面を覆った硝子(ガラス)は、澄んだ水の中を泳ぐ魚の目のように、きらり、と光る。
(「夏至祭」冒頭より)
こんな感じ。もうもう、言葉のひとつひとつが美しい。まるで硝子(ガラス)で出来ているかのような透き通った美しさです。「赤ランプが点滅する」よりも「紅玉(ルビー)のようにぽつぽつ点る」…と書くほうが、ロマンチックで幻想的。長野さんは夜の描写が上手くて、少し宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思わせます(私のブログでは、( )書きしてるので雰囲気出ませんが、本の中ではモチロン、漢字にルビがふってあります)。
私は以前、絵描きの仕事が煮詰まっていた時、長野さんの世界に偶然出会いました。「わーっ!」という感じで、イメージが次から次へ湧いてきて…しばらくずっと「長野本」を持ち歩き、いつでもどこでも読んでいたほどです(今はちと落ち着いてる)。
「硝子(がらす)」「瑠璃(るり)」「山葵(わさび)」「羊歯(しだ)」「水浅葱(みずあさぎ)」「飛沫(しぶき)」…と、微妙な日本語の美しさ。狂おしい位。英語ではこの感覚は出てこない。「ライトピンク」より「桜貝の色」と書くほうが、数倍胸を打つ。長野さんの繊細な文章は、欧米文化が日本に丁度いい濃度で浸透していた、大正浪漫期や昭和初期の懐かしい感覚を呼び覚ましてくれます。
河出文庫から出てる長野さんのシリーズが、お手軽で推奨します(今現在の出版状況は知らないんだけど)。アッという間に読めるのに、いつまでも胸に響くのです。
ちょっとタイトルを並べてみただけでも…「遊覧飛行」「カンパネルラ」「三日月少年漂流記」「聖月夜」「螺子式少年」…と、わくわくしてきます。
私も全部読んでるワケではありませんが、短編集「綺羅星波止場」は読みやすく、繰り返し読んでます(「耳猫風信社」はこの中に入ってる1編)。「夏至祭」「夜間飛行」もファンタジックな中篇で、夏の暑い夜にはピッタリ。
えー。私の下手なBOOKレビューを読むより(笑)折あらば、長野さん御一読をどうぞ。銀河鉄道で旅したくなりますよ★
なんだかダルくって、仕事も遅々として進まない。一緒にランチしてた友人に「目の下クマクマやん~」と指摘される(クマはトシのせいさ)。リフォーム疲れかしら。
「これはいかん」と、昨夜は奮発して○○○○円もするウナギ蒲焼を買ってしまった。ジョニーもカバ焼き食べないかな。送ろかな。精つきまっせ(おっとっと)。皆さまは大丈夫でございますかしら。
世間は夏休みスタートなんですよね。学生さんとかね。いいね。7月中ってまだ「希望と余裕でウキウキ」だもんね。お盆過ぎたあたりから、「宿題」の存在がアレ、胸を締め付けるんですよね(笑)。
ということで、しばらくは「この夏にオススメの本・映画の話」を織り交ぜていこうと、ボンヤリ考えてたんですが、ちょっと今日は映画話を変更して「長野まゆみさん」のお話を。
私は、ジョニーのお誕生日の7月2日が「半夏生(はんげしょう)」であると前に書きましたが、これってどこかで聞いた言葉だな…と記憶の糸を辿っていくと、長野まゆみさんの「夏至祭(げしまつり)」という本を前に読んでいて、その中に「半夏生」が出てきたんですね。「ああ、なんて綺麗な言葉なんだろう」…と、ずっとずっと記憶の玉手箱の中にしまっていたのでした。
長野まゆみさんは、好きな人は果てしなくハマる…イメージの宝庫。おとぎ話。鏡の中の別世界のような、キラキラした叙情的な物語を書く人です。かなり熱狂的ファンを獲得してる有名作家ではないでしょうか。
少し少年愛なムードも漂ってて(12歳くらいの美少年二人連れがよく出てくる)、不思議な異世界へ冒険するお話が多いんですが、結構スピーディなのに古き良き時代の日本語が連綿と連なっている。少し、さわりを引用すると。
路面電車は藤紫(ふじむらさき)の薄闇の中を走っていた。窓越しにミシン工場の夜間照明がぽつぽつ点(とも)っているのが見える。紅玉(ルビー)のように点滅して、上空を飛来する航空機に障害物のあることを知らせていた。工場の屋上には車窓からも時刻が読めるほどの大時計が豆洋燈(ランプ)に照らされて浮かびあがっていた。
…土星と金星のあいだに切先の鋭い月がある。あと一週間もしないうちに夏至だ。路面電車を降りた月彦(つきひこ)は、いつものように電話局裏の路地を曲がってゆく。水銀燈の白光色が手首に巻きついた時計の文字盤を照らした。表面を覆った硝子(ガラス)は、澄んだ水の中を泳ぐ魚の目のように、きらり、と光る。
(「夏至祭」冒頭より)
こんな感じ。もうもう、言葉のひとつひとつが美しい。まるで硝子(ガラス)で出来ているかのような透き通った美しさです。「赤ランプが点滅する」よりも「紅玉(ルビー)のようにぽつぽつ点る」…と書くほうが、ロマンチックで幻想的。長野さんは夜の描写が上手くて、少し宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思わせます(私のブログでは、( )書きしてるので雰囲気出ませんが、本の中ではモチロン、漢字にルビがふってあります)。
私は以前、絵描きの仕事が煮詰まっていた時、長野さんの世界に偶然出会いました。「わーっ!」という感じで、イメージが次から次へ湧いてきて…しばらくずっと「長野本」を持ち歩き、いつでもどこでも読んでいたほどです(今はちと落ち着いてる)。
「硝子(がらす)」「瑠璃(るり)」「山葵(わさび)」「羊歯(しだ)」「水浅葱(みずあさぎ)」「飛沫(しぶき)」…と、微妙な日本語の美しさ。狂おしい位。英語ではこの感覚は出てこない。「ライトピンク」より「桜貝の色」と書くほうが、数倍胸を打つ。長野さんの繊細な文章は、欧米文化が日本に丁度いい濃度で浸透していた、大正浪漫期や昭和初期の懐かしい感覚を呼び覚ましてくれます。
河出文庫から出てる長野さんのシリーズが、お手軽で推奨します(今現在の出版状況は知らないんだけど)。アッという間に読めるのに、いつまでも胸に響くのです。
ちょっとタイトルを並べてみただけでも…「遊覧飛行」「カンパネルラ」「三日月少年漂流記」「聖月夜」「螺子式少年」…と、わくわくしてきます。
私も全部読んでるワケではありませんが、短編集「綺羅星波止場」は読みやすく、繰り返し読んでます(「耳猫風信社」はこの中に入ってる1編)。「夏至祭」「夜間飛行」もファンタジックな中篇で、夏の暑い夜にはピッタリ。
えー。私の下手なBOOKレビューを読むより(笑)折あらば、長野さん御一読をどうぞ。銀河鉄道で旅したくなりますよ★
