上砂理佳のうぐいす日記

3月31日(月)から4月6日(日)まで銀座中央ギャラリーの「10×10版画展」に銅版画小品を出品します★

千両役者★

2013-03-21 | 12-13コンペとショー
世界フィギュア、「今季の最終演技者」はいつも女子シングルの最終滑走者になります。
(国別対抗戦は除くとして)
いつだったか(2002長野世界選手権か?)最終演技者が日本の恩田美栄さんになって、とても良い演技で締めくくって感慨深かったのですが、今季は「あの」ユナさんでした。
今、「キムヨナ」表記が大半なのですが、私はずっと「ユナちゃん」と言ってきたので、どーも違和感があります。なので「ユナちゃん」のままでいきます^^

SPの「吸血鬼のキス?」はちょーっと固かったというか、さすがの五輪女王も緊張しているようで、伸びやかさに欠けたような。点も納得です。だからコストナー選手と真央ちゃんがノーミスだったらなあ…と残念なのですが、なかなかそうはいかないのですよね。
ユナちゃんはSPもFSも、コスチュームの「色」が独特かな。難しい中間色でインパクトは無いのに、不思議と肌の色とスタイルに合い、一種の品格を感じさせます。
特にフリーの「レ・ミゼラブル」の衣装なんて、とても難しい色!
でも意外にも(?)彼女は色が白く、あの「フワッ」としたグレー+ブラウンみたいな色が明るく引き立ちます。というより逆か。「肌の白さを惹きたてるグレー・ブラウン」。
日本人だと肌が黄色味を帯びている人が多いので、あの色は絶対に合わないでしょう。肌も衣装も、両方くすんで見えてしまいます。
日本女子で中間色の使い方が上手いのは、村上佳菜子ちゃんですが、彼女は色白ですね。

衣装の話にそれましたが、FSの演技は私ですらも(?)コタツの前でスタオベしてしまいました。
もう中盤あたりから、「あああこれは…」思いました。優勝する人のノリです。
「神降臨」の時のフィギュアの演技は、独特の輝きがあるのです。
少々スピンが遅かったり、もしステップでつまづいたりしても、そんなの関係ない!
素晴らしいFSでした。あの場で一緒に味わいたかったです。
またこのカナダのTVカメラがニクくて、演技フィニッシュの決めポーズを、「遠景」で切り取っているのです。
まるで舞台の上の主役ダンサーを、観客席から見上げるような角度で、そしてその背景は「立ち上がって熱狂的な拍手を贈る大観衆」。
なんつう劇的な、効果的演出でしょうか。
日本のカメラも「スピンの天井カメラ」なんて喜んでないで、いかに選手を引き立てるか、考えて欲しいよ~。

ユナちゃんは「ロクサーヌの流し目」の頃「あげひばり」の頃…から真央ちゃんと並行して見てきて、いまだに私の「ユナちゃんベスト」は「ミス・サイゴン」もしくは「死の舞踏」なのですが、今回の演技は特別な感動がありました。プログラムがどうこう…じゃなくて、「強い女性っていいな!」そういう感服です。
なんと形容したらいいのか…彼女はちょっとシルヴィ・ギエム入ってますよ。
完璧な技術なんだけど、古くなくニュータイプ(あの3+3とか見てたら新世代の美だと思う)。なのに機械的ではない。あくまで「情感を伝えるための技術」で「技術を見せつけるための技術」ではない。
でも、もしワンシーズン通して滑り込んでいたら、もっともっと深みを増したプロになるんじゃないかなー思いました。さすがに復帰して3試合目では、熟したものは無理というか。
それでもあの点が出るのは、ジャッジの「文句なし」の表現だと思いました。
最終滑走でなくて、コストナーと真央ちゃんが完璧なら、ちょっとわからなかったかも。
今季最終滑走者で、優勝のかかった演技といえば、いわば相撲の「大一番」。
しかも2年のブランク!
そこで完璧にやってのける。それが「千両役者」なのでしょう。
バンクーバーの時は、私はFSのプログラムが余り好きではなかったので、点が出過ぎだな~と思いましたが、今回はその「千両役者力」に心から脱帽しました。

真央ちゃんは今季は良いプログラムを持ってきて、ここ2年ほど苦しんでいたジャンプも復調。努力の積み重ねが実を結んで、花開いた印象でした。
でも、この世界選手権はちょっと(ユナちゃんが出てたからか?)緊張が高かったように見えましたが。なんかフリップの回転不足は?解せないなあ?
FSのステップは圧巻ですよね。バレエファンにとってはたまらない。32回のグラン・フェッテのところですもんね。貫録すらありました。
ユナちゃんやカロリーナが特にスピードのある選手なので、もう少し滑りにスピードが欲しいですが、でもでも復調おめでとう!なのです!
真央ちゃんは、やっぱり3アクセルが入ると、気持ち的に「やるぞ!」って高揚するように見えます。ジュベールにおける4回転、でしょうか(笑)。

プログラムはコストナー選手が一番好き。
SPもFSも難しい。でもカロリーナが滑ると(踊ると)音楽が体からあふれ出るのです。全ての動きが美しく流れるよう。ジャンプ助走も短くなりました。
それに、3+3を…フリップ+トゥで挑んできたのが嬉しかった!
元々、ユナちゃんみたいなダイナミックな3+3+2を跳んでいた人が、怪我で後退し、また一年一年コツコツと難度を上げてきて、遂に、再びルッツもフリップも跳ぶように。この間、10年は経ったのではないでしょうか(初めて見たのが2002年長野ワールドだから…)
なんという嬉しさ。私は「カロリーナの長い旅」と題して、小説を書きたいぐらい(笑)。
ボレロは明らかにベジャールの振付を模していましたが、そんな迫力の滑りを魅せられるようになったなんて。大人の女性の魅力満載です。私は彼女に、ソチでもメダルを獲って欲しい。

女子メダリストは三者三様でした。あっこちゃん、かなちゃんその他の選手の感想はまた後に★
コメント (2)
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