拝啓 天国の婆や殿。
久しぶりの婆やへのお便り。
すっかりご無沙汰してしまい、ごめんなさい。
今夜の横浜は雨。静かな雨音が聞こえます。
中谷宇吉郎氏の『雪は天からの手紙』であれば、秋の雨は、
木々の葉を色づかせる、『天からの絵の具』でしょうか?
そして、秋を深める雨は、心を落ち着かせる鎮静剤でもあり
けっして嫌いではありませんが・・・
今週の土曜日は降らないで
そう願っています。
あっ、婆やはお分かりですね。そうなんです。
毎年、11月の第2土曜に開催される高校の同期会。
1年が過ぎるのは早いものです。
もう、そんな時期になりました。
クラスを超えての、首都圏在住の同期の集いですが
今年は25人ほど集まるようです。
婆や、覚えていますか?
婆やが選んでくれた、黄八丈の着物。
カジュアルな集まりなので、羽織との
あのアンサンブルにする予定です。
しゃきっとした絹の感触が、秋の一夜にふさわしいかも。
ずーっと箪笥の中なので、虫干しも兼ねて(笑)
良いアイデアでしょう?
でも、当日が雨だと足元がちょっと心配になります。
そうそう・・・婆やも知っている同じクラスの○○さん。
彼女に「着物で行こうと思っています」とメールをしたら
なんと!!偶然!
「私も着物にしようと思っていたんですよ」というお返事が。
同じことを思っていたとは・・さすが同じ屋根の下で
同じ時間を過ごした同級生!
彼女にも、他の皆さまにも会えるのが
とても楽しみです。
ただ、婆やもそうでしたが、昔話にどっぷりと浸るのは苦手。
あの頃に戻りたい・・・という振り返りモードもご遠慮したい。
「見返り美人」は日本画だけ。
振り返る女は美しくありませんものね。
「いつも今が一番良いと思っている」・・・婆やの口癖でしたが
私も、そんな年のとり方をしていきたいのです。
でも、さらりと振り返るのは好き。
そして、何気ない会話の端々に、言葉には出さないけれど
「お互い、今を明日を頑張ろうね」と・・・暗黙の笑顔が。
そんな集まりが好き。
さらに、楽しい時間を過ごした後「また来年会おうね」と、別れるときも、好きなのです。
だから、婆やも、お天気担当の神様に
土曜日を雨にしないように
お願いしてくださいね。
写真は、晴天の日に撮ったものです。
秋は『枯れる季節』ではなく、
命が静かに『萌える季節』
木の影が、そんな命のシルエットのよう・・
ぜひ、婆やに見てもらいたくて、同封します。
あらっ、神様が絵の具の色を濃くしたのでしょうか。
外の雨音が強くなったようです。
では、婆や。またお便りいたします。
ごきげんよう