中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ミャオ(苗)族-10-

2006-09-06 00:03:07 | 中国のこと
  貴州省東南部の榕江(Rongjiang)県両汪(Liangwang)郷空申(Kongshen)は超短裙 (chaoduanqun) ミャオの村である。楽里(Leli)と言う鎮の民宿に一泊した翌日に訪れた。舗装してない山道を車で2時間ほど行った山中にその村はあった。



 村の前を流れる川の岸にある李の木に、2人の少女が登って白い花がついた枝を採っていた。その無邪気な笑顔と楽しそうなしぐさが可愛く、のどかな光景だった。


 
 車から降り坂道を上って村内に入り、1軒の住居を訪れて中を見せてもらった。その家の婦人とガイドの馮彦が話していたが、しばらく待ってから家の裏手にある広場に移った。事前に交渉は済ませてあったようで、ここで村民の踊りを見せてくれるということだった。

 広場で待っていたが、なかなか踊り手は集まって来ない。あちこちに声をかけて集めている様子で、民族衣装を着けた男女が三々五々集まっては来たが、いっこうに始まる気配はない。そののんびりした悠長さは、この山あいの村の静かな雰囲気に似合っているようにも思いながら、私1人のために集まってくれることが何か済まないような気もしてきた。

 広場から見た村の家


 倉庫


 集まって来た女性達の服装を見ると、なるほど超短裙(ミニスカート)である。言い伝えによると、大昔のこの村の始まりの頃は村人の生活は貧しく、女達は芭蕉の葉で衣服を作った。その後布を使うようになったが、今もスカ-トは芭蕉の葉で作ったものと同じように細かいプリーツがあり、長さは18センチのままであると言う。この村の女性も銀の首飾りをしている。



 やがて長い芦笛(蘆笙)を手にした黒い服装の男性達が奏でる曲に合わせて女性達が踊り始めた。単調なメロディーなので踊りのしぐさもゆったりしていて、広場を何回もゆっくり回るが、これも静かな村の雰囲気に合っているようで、その1時間ほどの間は退屈することはなく、のどかな気分になった。



 踊りの間に男が輪になってしゃがみ、その後ろに女が立って、交互に高い声で歌った。男女が恋歌を交わす歌垣のようなものだろう。



 毎年旧暦3月3日から4月初めまではこの村の「茅人(maoren)祭」で、この時には村の若い男女は好き合った者同士で、広場から見える小高い山に登って楽しい時を過ごすと言う。踊りが始まるのを待つ間に、まわりに集まった男達の1人に「結婚したら山には行けないのか」と尋ねると「好きな人とは行きたいが、妻が怒る」と笑っていた。実際には結構おおらかなこともあるのかと思ったりした。


 この村で過ごしたひと時は、何かしら心に残るものだった。