中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

大熊猫(daxionmao)

2006-09-17 00:04:07 | 中国のこと
 大熊猫は、普通は単にパンダと呼んでいるジャイアント・パンダの中国名。1972年に上野動物園に初めて贈られてたいへんなブームを起こしたことは、もう30年以上も前のことになったが、今でもテレビや新聞で見た熱狂振りを思い出す。その後神戸の王子動物園や和歌山県白浜のアドベンチャーワールドでも見られるようになった。私はきれいに整備された屋舎で飼われているパンダを見ることにはどうも興味がなかったので、近くの王子動物園にも行ったことがなかったが、野生のものは不可能でも、せめて中国で飼育されているパンダを見たいと思っていた。今年の5月に四川省の省都の成都を訪れた時に、市内の大熊猫基地に行き念願のパンダを見ることができた。

 パンダの分類上の位置についてはこれまで議論されてきて、パンダ科という科を設けられたこともあったが、DNAの研究によって現在はクマ科に入れられているようだ。ネコ目クマ科に所属するわけで、大熊猫という名はそれに合っている。

 成都の大熊猫基地は広大で、堀をめぐらされた樹木の多い場所でパンダは自由に歩き回り餌を食べている。特定の品種の細い竹しか食べず、これは観客が見やすい場所に作られた餌場で係員が与えている。これだけでは足りないのか、リンゴヤ混合飼料も与えているようだ。餌の竹は1日に30キロくらい食べ、その多くは未消化のまま排泄されるそうで効率が悪い。排泄するところを見ると糞はきれいな緑色をしていた。



 基地内の道。竹が美しい。この竹はパンダの餌にはならない。




 朝食時間は午前中とのことで、基地に着いた時にはちょうど餌場で食事の最中だった。餌場は堀の向こう側のよく見える所に作られている。パンダが竹を食べる姿はユーモラスだ。両足(後ろ足)を投げ出してどっかと座り、両手(前足)で竹を掴んでムシャムシャと旺盛に食べる。時には前の堀に落ちた竹を取りに行こうとして前にのめり、両手両足を広げて仰向けに滑り落ちていく様子はまことに愛嬌があって可愛かった。







 ここでは料金を払うとパンダと一緒に写真を撮ることができる。定刻が来て係員の指示で堀にかかった小橋を渡って飼育場内に入ると、ベンチにパンダが腰掛けて待って(?)いた。そこで係員が写真を何枚も撮ってくれた。料金は訪れた月から値上がりしたようで、800元(約1万1000円)とまことに高い。子どものパンダを抱いて写すこともできるようだったが、こちらは1,200元(約1万6000円)で、縫いぐるみのように可愛いだろうが、いくらなんでも手が出なかった。飼育費の足しにするという名分があるのだろうが、それにしても商売上手でがめついのには呆れるほどだし、あらかじめ知らせてくれた中国の友人も驚いていた。
 


 基地には、レッサーパンダ (小熊猫)もいた。これこそ縫いぐるみの人形のようでとても愛くるしい。レッサーパンダ科という独自の科に分類されている。



 レッサーパンダを抱く、西安からガイドとして同行した友人の邵利明。レッサーパンダのやんちゃそうな姿態がおかしい。



 来年は成都の北の臥龍にある研究所に行くことにしている。パンダは四川省以外に陝西省や甘粛省にも生息しているが、その数は1000頭くらいで絶滅を危惧されている。保存繁殖のための研究所、施設は各地にあり、近年は繁殖に成果を挙げているそうだが、臥龍の研究所は最大の施設と聞いている。

 パンダに関係して、私が愛読している陳舜臣さんの「六甲随筆」(朝日新聞社)に面白い話が載っている。

 「一時、想像上の動物を十二支に入れるのは非科学的だと言って、龍を実在のパンダに変えよと主張した人がいたが、これはさすがに賛成者が少なかったようだ。
ー私はパンダの年よ。
というのも悪くないが、なんとなくマンガチックで、実現しなくてよかった。(十二支に猫がいないわけ)」