最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

監視カメラに全部は写っていなかった交通事故の判断

2016-04-18 11:34:52 | 日記
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85757
平成28年3月18日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

自動車運転過失致死の公訴事実について防犯カメラ映像と整合しない走行態様を前提に被告人を有罪とした原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例

ある人が交通事故に遭い、片側2車線の交差点内で倒れていました。
そこに、追い越し車線の車が遅いとイライラした加害者が走行車線から追い越し、追い越し車線にもどったところ、交差点内で前の事故で倒れていた人の頭を車で轢いてしまい、先の事故で倒れていた人を死亡させれたとして逮捕さました。そのとき前方だけではなく、左右も確認する義務があるにも関わらず、しなかったとしています。
一方被告側は、①被告人は,追い越すため第1車線に進路変更した後、そのまま第1車線を走行して本件交差点を通過しており、第2車線に倒れていた被害者を轢過したのは被告人ではない、②仮に被告人が轢過したとしても,先行していたA車の前方で被害者が転倒し横たわっていたしていることを予見することはできず、被告人に過失はないとして無罪を主張しました。
一審は、追い越したのではなく交差点の中には、ほぼ併走して入っているので、轢いたとするには疑いがあるとして無罪判決が出ています。

これについて、交差点の監視カメラでは、被告の前を走っていた車が確認されて、それを被告の車が走行車線から追い越し、追い越し車線に戻っていると認定されました。おそらく、事故全体が写されておらず、この角度でなら戻ったと推定されたのでしょう。そして高裁では轢いたものとして有罪判決が出ました。
監視カメラは万能ではありませんから、推測しかありえません。

最高裁では、これは事実認定がおかしい可能性があるとしました。そこで以下、交通整理をしていた人と追い越された車の運転手の証言です。
①先行事故後に本件交差点内で交通整理を行っていたBは,「乗用車タイプの車がトラックの左側(第1車線)を追い越していき,直後に本件事故が発生した」
②一方,A車を運転していたAは,「白っぽい乗用車が自車のすぐ右側を追い越していき,倒れている被害者の頭部付近を,何かを踏む音を立てながら通り過ぎていった」

高裁は、カメラと証言をもとに高裁では有罪になりました。しかしこれに疑問を投げかけました。

まず、本件防犯カメラの映像は毎秒2コマずつ撮影されているところ,原判決が認定するように被告人車が時速40km程度でA車を手前側から追い越して本件交差点に進入したのだとすれば,本件交差点中央付近に到達するまでに被告人車が本件防犯カメラの映像上一切映らないということはおよそ考え難いのであって,検察官の主張は採用できない。)。
その結果、
被告人車がA車を第1車線側から追い越して本件交差点に進入したことを前提とする主張を展開しているが,本件防犯カメラの映像上,被告人車がどの車両であると捉えているかは,主張全体を通じて見ても明らかではない。


という事で、明確な証拠とは言えないものであり、有罪にはできないとして無罪に判決を出しました

今回の裁判官。第三小法廷
裁判長裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充

心証としては真っ黒なのでしょうが、物証が乏しいという事でしょうか。これは法の大原則なので、この判決は妥当なものと言えそうです。目撃証言は、あくまでも参考にしかならないのでしょうね。
それにしても、交通事故で人を轢いた場合、車体に何らかの跡が残ります。ましてや生きている状態であれば、30センチ弱の石を乗り越えるよな感じになりますので、車体に跡が残るはずです。それがなかったとなると、既に頭蓋骨を粉砕された死体を轢いたことになります。この辺りが判決に書いていないところを見ると、車には跡がなかったのでしょうか。相当な血の海でタイヤ痕などの現場検証ができなかった可能性があります。