最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

3回に分けて借金 どの借金分を返したのか未指定 時効成立はどの分か

2021-01-02 14:10:58 | 日記
令和2(受)887  貸金返還請求事件
令和2年12月15日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  東京高等裁判所
同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合における借主による充当の指定のない一部弁済は,特段の事情のない限り,上記各元本債務について消滅時効を中断する効力を有する

報道が見つからないので、事実確認から見ていきます。
(1) 亡Aは,平成16年10月17日,長男である被上告人に対し,253万5000円を貸し付けた)。・・・「本件貸付け①」
(2) Aは,平成17年9月2日,被上告人に対し,400万円を貸し付けた・・・「本件貸付け②」
(3) Aは,平成18年5月27日,被上告人に対し,300万円を貸し付けた。・・・「本件貸付け③」


親から毎年借金ですか。合計953万5000円です。

(4) 被上告人は,平成20年9月3日,Aに対し,弁済を充当すべき債務を指定することなく,貸金債務の弁済として,78万7029円を支払った。
(5) Aは,平成25年1月4日に死亡し,三女である上告人は,本件各貸付けに係る各債権を全て相続した。


典型的な争続になりましたね。8,747,971円の未払いを三女が相続しました。

(6) 上告人は,平成30年8月27日,被上告人に対し,本件各貸付けに係る各貸金及びこれに対する平成20年9月4日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める本件訴訟を提起した。被上告人が,同法167条1項に基づき,本件貸付け②及び③に係る各債務(以下「本件債務②及び③」という。)の時効消滅を主張するのに対し,上告人は,本件弁済により同法147条3号に基づく消滅時効の中断の効力が生じていると主張して争っている。

返済したのは貸付金①-③のうちどれかをして指定して返さなかった。三女はいつまでも返さないから遅延損害金請求、被上告人は時効だろと裁判になりました。

これについて最高裁は、
(1) 同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において,借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく全債務を完済するのに足りない額の弁済をしたときは,当該弁済は,特段の事情のない限り,上記各元本債務の承認(民法147条3号)として消滅時効を中断する効力を有すると解するのが相当である。

旧民法では、時効の中断は承認によって中断することになっています。

(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,本件弁済がされた当時,Aと被上告人との間には本件各貸付けに係る各債務が存在し,借主である被上告人は弁済を充当すべき債務を指定することなく本件弁済をしているのであり,本件弁済が本件債務②及び③の承認としての効力を有しないと解すべき特段の事情はうかがわれない。そうすると,本件弁済は,本件債務②及び③の承認として消滅時効を中断する効力を有するというべきである。したがって,上告人が本件訴訟を提起した平成30年8月27日の時点では,本件債務②及び③の消滅時効はまだ完成していなかったことになる。

ごもっともです。

なお,上告人は,平成20年9月4日から平成30年9月26日までの遅延損害金の請求に関する上告について,上告受理申立ての理由を記
載した書面を提出しない。
そうすると,本判決主文第1項のとおり,第1審判決が本件貸付け①に係る残元金として上告人の請求を認容した額である174万7971円に本件貸付け②及び③に係る各貸金の合計額である700万円を加えた額である874万7971円及びこれに対する平成30年9月27日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で上告人の請求を認容する旨に原判決を変更すべきである。


裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也

全員ごもっとも。むしろこれは下級審の法令の誤解であって、本来は最高裁まで争われるべきものですらないものだと思います。
最高裁まで争ったら遅延損害金どころか、元本も半分ぐらい返せたのではないかと思いますが。