最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

マンション建て替えのときは支払いが止まりそうなら混合供託しなさい

2022-11-12 14:43:07 | 日記
令和2(受)1462  取立金請求事件
令和4年10月6日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

マンション建替事業の施行者がマンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対する差押えの競合が生じたときは、上記施行者は同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とする混合供託をしなければならない

新聞、ニュースでは取り上げられていないようなので事実確認から見ていきます。

1 被上告人は、大阪府吹田市内のマンションについて、マンションの建替え等の円滑化に関する法律2条1項4号のマンション建替事業を施行する同項5号の施行者である。本件マンションの区分所有者であったBは、被上告人に対し、円滑化法75条
1号に基づき、1905万円の補償金の支払請求権を有していた。・・・本件補償金の支払請求権を差し押さえた上告人が、被上告人に対し、1905万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成30年5月15日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を供託の方法により支払うことを求める取立訴訟である。


マンションがぼろくなったので建て替える必要が出た。その建て替えのために、お金を出し合うことになったのにBさんは払ってくれない。そのせいで工事が始められなかったので、遅延損害金も払えという訴えのようです。

円滑化法76条3項は、施行者は、先取特権、質権又は抵当権の目的物について円滑化法75条所定の補償金を支払うときは、これらの権利者の全てから供託しなくてもよい旨の申出があったときを除き、その補償金を供託しなければならない旨を規定している。被上告人は、本件補償金について、上告人による上記の差押えの後、円滑化法76条3項を供託規則13条2項5号の「供託を義務付け又は許容した法令の条項」とする供託をしており、上記供託をもって上告人に対抗することの可否が争われている。

論点は、Bさんは供託金として出しているの遅延損害金を払わなきゃいけないのか?になります。


(1)平成29年3月、本件マンションのマンション建替事業を施行するマンション建替組合として設立
(2)Bは区分所有権を有していた者であるが、上記事業において、上記区分所有権を失い、かつ、再建されたマンションに関する権利を与えられないものとされたことから、円滑化法75条1号に基づき、被上告人に対し、本件補償金の支払請求権を取得した。


所有区分が小さすぎて、そのままではまた住めないので金を払ってもらったようです。

(3)抵当権者を近畿信用保証株式会社とする抵当権及び根抵当権者を北おおさか信用金庫とする根抵当権がそれぞれ設定され、その旨の各登記がされていた。
(4)ア 上告人は、大阪地方裁判所に対し、上告人のBに対する連帯保証債務履行請求権のうち2153万円余を請求債権として、本件補償金の支払請求権に対する差押命令の申立てをした。
イ 北おおさか信用金庫は、大阪地方裁判所に対し、本件建物部分についての根抵当権に基づく物上代位権の行使として、本件補償金の支払請求権に対する差押命令の申立てをした。
ウ 近畿信用保証は、大阪地方裁判所に対し、本件建物部分についての抵当権に基づく物上代位権の行使として、本件補償金の支払請求権に対する差押命令の申立てをした。


Bさんは、金回りが悪くなったようです。

(5)北おおさか信用金庫及び近畿信用保証は、本件補償金について、被上告人に供託不要の申出をしなかった。被上告人は、平成29年11月14日、本件補償金について、Bを被供託者とし、円滑化法76条3項を根拠法条とする1905万円の供託をした。

供託しなかったというのは何故なんでしょうか。ミス?

円滑化法76条3項の趣旨が補償金に対して物上代位権を行使し得る担保権者を保護することにあることからすると、施行者が同項に基づく供託義務を負う場合には、上記補償金の支払請求権に対して複数の差押命令が発せられ、差押えの競合が生じたとしても、上記施行者が、上記補償金について、民事執行法156条2項のみを根拠法条とする供託をすることはできず、円滑化法76条3項及び民事執行法156条2項を根拠法条とするいわゆる混合供託をすることもできないと解される。


(1)円滑化法76条3項が、施行者が抵当権等の目的物について補償金を支払う場合に原則としてその補償金を供託しなければならないものとする趣旨は、この場合に施行者が補償金を直接上記目的物の所有者等に支払ってしまうと、上記抵当権等を有する債権者が、事実上、上記補償金に対して物上代位権を行使することができなくなるおそれがあるので、原則として施行者に上記補償金の供託を義務付けることにより、抵当権者等を保護することにあるものと解される。・・・上記施行者は、上記補償金について、円滑化法76条3項及び民事執行法156条2項を根拠法条とする混合供託をしなければならないと解するのが相当である。

裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹