最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

 消費者裁判手続特例法の適用がおかしくないか?

2024-05-05 18:47:03 | 日記
令和4(受)1041  共通義務確認請求事件
令和6年3月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 消費者裁判手続特例法2条4号所定の共通義務確認の訴えについて同法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断に違法があるとされた事例

朝日新聞の報道です。
消費者被害を回復する裁判制度、利用拡大へ道 最高裁が初判断
暗号資産に関する情報商材の販売で生じた被害をめぐり、被害者に代わって消費者団体が被害回復を図る「消費者団体訴訟制度」の対象になるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(長嶺安政裁判長)は12日の判決で、「対象になる」との判断を示した。「対象にならない」とした一、二審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。

ウェストローの記事です
過失相殺の可能性は、消費者被害に対する集団的救済の障害となるのか

この事件は、本ブログの「トンデモ判決 自動取引FXのDVDの返金要求」に関連する事件です。事件概要は本ブログのリンク先か、判決文の前半を読んでください。

原審では
被上告人らによる本件各商品の購入の勧誘等が不法行為となり、これによって、本件対象消費者が誰でも確実に稼ぐことができる簡単な方法があると誤信したとしても、そもそも投資等においてそのような方法があるとは容易に想定し難く、本件対象消費者につき、仮想通貨への投資を含む投資の知識や経験の有無及び程度、本件各商品の購入に至る経緯等の事情は様々であることからすれば、過失相殺について、本件対象消費者ごとにその過失の有無及び割合を異にする。また、本件対象消費者が本件各商品を購入した動機については、誰でも確実に稼ぐことができる簡単な方法があると誤信した場合のほか、そのような誤信をせずに、単に仮想通貨で稼ぐ方法に興味を抱いた場合も想定され、本件対象消費者ごとに因果関係の存否に関する事情も様々である。したがって、本件については、法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当する。

要するに商品を買う前に、怪しいと思ったでしょう?盲目的に買ったとしたならば、それって勝った側の過失だよね、だから、全額ではなく過失割合で返金が妥当でしょう、という趣旨です。

これ自体でも問題ありだと思いますよ。投資目的でその勉強道具を買うわけですよね。投資の一環なのだから、消費者として扱うのはどうなんですか?という議論は全くされないのですか。地裁も高裁もちょっと変です。

最高裁は
法は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するため、共通義務確認訴訟において、事業者がこれらの消費者に対して共通の原因に基づき金銭の支払義務を負うべきことが確認された場合に、当該訴訟の結果を前提として、簡易確定手続において、対象債権の存否及び内容に関し、個々の消費者の個別の事情について審理判断をすることを予定している

それはごもっとも。

本件各商品につき虚偽又は実際とは著しくかけ離れた誇大な効果を強調した説明をしてこれらを販売するなどしたというものであるところ、前記事実関係によれば、被上告人らの説明は本件ウェブサイトに掲載された文言や本件動画によって行われたものであるから、本件対象消費者が上記説明を受けて本件各商品を購入したという主要な経緯は共通しているということができる上、その説明から生じ得る誤信の内容も共通しているということができる。

ならば、詐欺罪として刑事事件化すべきじゃないですかね。それやってます?

本件対象消費者につき、過失相殺をするかどうか及び仮に過失相殺をするとした場合のその過失の割合が争われたときには、簡易確定手続を行うこととなる裁判所において、適切な審理運営上の工夫を講ずることも考えられる。

あくまでも民事で片を付ける気ですよね。となれば投資の一環で失敗こいた扱いでしょう。

過失相殺及び因果関係に関する審理判断を理由として、本件について、法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断には、同項の解釈適用を誤った違法がある。

全員一致でした。これは弁護士の問題なのか、刑事機縁として立件できないから民事にしたのか分かりませんが、最初の論点を誤っている気がしますね。

裁判官林道晴、裁判官宇賀克也の補足意見
共通義務確認訴訟の段階では、個々の消費者の個別の事情についてはいまだ明らかでないことが少なくないと思われるものの、本件のように、消費者契約に至る主要な経緯等が客観的な状況等からみて共通しているということができるような場合には、上記経緯等についての個々の消費者の個別の事情に係る争点に関しては、陳述書等の記載内容を工夫することなどにより、簡易確定手続の審理を合理的に行うことができるのではないかと思われる。また、当事者多数の訴訟において、仮に過失相殺をするとした場合には、当事者(被害者)ごとに存する事情を分析、整理し、一定の範囲で類型化した上で、これに応じて過失の割合を定めるなどの工夫が行われているところであり、同様の工夫は、簡易確定手続においてもなし得るものと考えられる。

法の解釈ではなく手続きを簡略化しろというだけのようです。

裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 今崎幸彦

ということで、全員論点ずれ