令和4(受)1266 各株券引渡請求及び独立当事者参加事件
令和6年4月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
1 株券発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはない
2 株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができる
報道がないようなので、事実確認から見ていきます。
(1)被上告人株式会社Aは、平成16年1月、株式会社植宗Bの設立に当たり、その株式200株を引き受け、本件株式1の株主となった。同社は、公開会社でない株券発行会社である。被上告人植宗は、平成24年4月、Aに対し、本件株式1を譲渡し、植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡について承認した。
他にも譲渡の案件があったようですが、割愛します。
(2)植宗エクステリアは、設立以来、株券を発行したことはなかった。Aは、平成29年10月、本件株式1につき、債権者代位権に基づき被上告人植宗の植宗エクステリアに対する株券発行請求権を行使するとして、同社に対し、株券の交付を自己に対してすることを求め、同社から、株券として、原判決別紙3の目録記載の文書の交付を受けた。
非上場会社でも株券麩発行制度があるので、この会社ではそれを使っています。
(3)Aは、令和2年3月、上告人に対し、本件株式1を譲渡し、本件株券1を交付した。また、Cは、同年7月、上告人に対し、本件株式2を譲渡し、本件株券2を交付した。植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡についていずれも承認した。
株式の譲渡制限があったんでしょうか。取締役会で譲渡が認められました。どうも株券の管理をしっかりしていなかったようで、よそに所有権が移った物を譲渡を認めてしまったようです。そりゃ譲り受ける側からすれば善意の第三者になりますね。
最高裁は
(1)会社法は、株主はその有する株式を譲渡することができると規定するとともに(127条)、株式は意思表示のみによって譲渡することができることを原則とするところ、同法128条は、株券発行会社の株式の譲渡について特則を設け、同条2項は、株券の発行前にした譲渡につき、株券発行会社に対する関係に限ってその効力を否定している。
譲渡制限はあくまでも例外規定という事のようです。
同条1項は、株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないと規定しているところ、株券の発行前にした譲渡について、仮に同項が適用され、株券の交付がないことをもって、株券発行会社に対する関係のみならず、譲渡当事者間でもその効力を生じないと解すると、同項とは別に株券発行会社に対する関係に限って同条2項の規定を設けた意味が失われることとなる。
不発行制度も例外規定として認めてるよぐらいの意味のようです。
株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、当該株式に係る株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないと解するのが相当である。
株券を所持していないからといって、株主として認めないということはないと言ってます。
(2)株券発行会社の株式の譲受人は、株券の発行前に株式を譲り受けたとしても、当該株式に係る株券の交付を受けない限り、株券発行会社に対して株主として権利を行使することができないから(会社法128条2項)、当該株式を譲り受けた目的を実現するため、譲渡人に対して当該株式に係る株券の交付を請求することができると解される。そうすると、株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全する必要があるときは、民法423条1項本文(平成29年法律第44号による改正前のもの)により、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
譲渡人に対して株券交付義務を履行したことになる。したがって、上記文書につき、株券発行会社に対する関係で株主である者に交付されていないことを理由に、株券としての効力を有しないと解することはできない。
当然の結論ですね。
裁判官全員一致の意見でした。
裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美
令和6年4月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
1 株券発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはない
2 株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができる
報道がないようなので、事実確認から見ていきます。
(1)被上告人株式会社Aは、平成16年1月、株式会社植宗Bの設立に当たり、その株式200株を引き受け、本件株式1の株主となった。同社は、公開会社でない株券発行会社である。被上告人植宗は、平成24年4月、Aに対し、本件株式1を譲渡し、植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡について承認した。
他にも譲渡の案件があったようですが、割愛します。
(2)植宗エクステリアは、設立以来、株券を発行したことはなかった。Aは、平成29年10月、本件株式1につき、債権者代位権に基づき被上告人植宗の植宗エクステリアに対する株券発行請求権を行使するとして、同社に対し、株券の交付を自己に対してすることを求め、同社から、株券として、原判決別紙3の目録記載の文書の交付を受けた。
非上場会社でも株券麩発行制度があるので、この会社ではそれを使っています。
(3)Aは、令和2年3月、上告人に対し、本件株式1を譲渡し、本件株券1を交付した。また、Cは、同年7月、上告人に対し、本件株式2を譲渡し、本件株券2を交付した。植宗エクステリアの取締役会は、上記の譲渡についていずれも承認した。
株式の譲渡制限があったんでしょうか。取締役会で譲渡が認められました。どうも株券の管理をしっかりしていなかったようで、よそに所有権が移った物を譲渡を認めてしまったようです。そりゃ譲り受ける側からすれば善意の第三者になりますね。
最高裁は
(1)会社法は、株主はその有する株式を譲渡することができると規定するとともに(127条)、株式は意思表示のみによって譲渡することができることを原則とするところ、同法128条は、株券発行会社の株式の譲渡について特則を設け、同条2項は、株券の発行前にした譲渡につき、株券発行会社に対する関係に限ってその効力を否定している。
譲渡制限はあくまでも例外規定という事のようです。
同条1項は、株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないと規定しているところ、株券の発行前にした譲渡について、仮に同項が適用され、株券の交付がないことをもって、株券発行会社に対する関係のみならず、譲渡当事者間でもその効力を生じないと解すると、同項とは別に株券発行会社に対する関係に限って同条2項の規定を設けた意味が失われることとなる。
不発行制度も例外規定として認めてるよぐらいの意味のようです。
株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は、譲渡当事者間においては、当該株式に係る株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないと解するのが相当である。
株券を所持していないからといって、株主として認めないということはないと言ってます。
(2)株券発行会社の株式の譲受人は、株券の発行前に株式を譲り受けたとしても、当該株式に係る株券の交付を受けない限り、株券発行会社に対して株主として権利を行使することができないから(会社法128条2項)、当該株式を譲り受けた目的を実現するため、譲渡人に対して当該株式に係る株券の交付を請求することができると解される。そうすると、株券発行会社の株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全する必要があるときは、民法423条1項本文(平成29年法律第44号による改正前のもの)により、譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
譲渡人に対して株券交付義務を履行したことになる。したがって、上記文書につき、株券発行会社に対する関係で株主である者に交付されていないことを理由に、株券としての効力を有しないと解することはできない。
当然の結論ですね。
裁判官全員一致の意見でした。
裁判長裁判官 尾島 明
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美