最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

当然判決 大学の任期付き採用は自動的に本採用になるわけじゃない

2025-01-05 10:51:54 | 日記
令和6(許)1  仮差押命令認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和6年10月23日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄差戻  大阪高等裁判所
 大学の教員の職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるとされた事例

毎日新聞の報道です
教員雇い止め訴訟 2審破棄した最高裁、大学の判断を尊重
羽衣国際大(堺市)の専任講師だった女性(48)が違法な雇い止めをされたとして、大学教員としての地位確認を大学側に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は31日、無期雇用への転換を認めて女性側勝訴とした2審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。
 大学教員の任期をどう定めるかは大学側の判断が尊重されるべきだとした判決。期限付きの契約で働く大学教員の雇用に影響を与える可能性がある。裁判官4人全員一致の意見。


朝日新聞の報道です
大学教員任期法では「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」などについて、無期転換に必要な期間を10年にできる。女性側は、特例の対象は「最先端の研究を担う」など一部の教員に限られ、自身は対象ではないと主張。一審で敗訴したが、二審・大阪高裁は特例の対象を厳格に解釈し、女性が逆転勝訴していた。

そもそも大学の教員が労働法の対象というのがオカシイと思っています。雇用関係というよりむしろ委託契約であるべきではないかと。一度専任になると何もしないでぶら下がる人がいるという話を聞きます。医学部を除いて、定年まで助教、講師という人は、扱いに困る人と言っていいと聞いたことがあります。

では事実確認から見ていきます。
1 上告人の設置する大学の教員として勤務していた被上告人が、
労働契約法18条1項の規定により、上告人との間で期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)が締結されたなどと主張して、上告人に対し、労働契約上の地位の確認及び賃金等の支払を求める事案である。
上告人は、被上告人が就いていた職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たり、無期労働契約が締結されたことにはならないなどと主張して争っている。

最初から勝負あった感じがしますね。これが最高裁まで争われたことそのものが理解不能です。

原審の判断では
3 原審は、上記事実関係の下において、要旨次のとおり判断し、本件労働契約は任期法7条1項所定の労働契約には当たらないとした上で、労働契約法18条1項の規定により、被上告人と上告人との間で無期労働契約が締結されたとして、被上告人の地位確認請求を認容し、賃金等の支払請求の一部を認容した。

これは明らかに原審がオカシイですよね。通常の労働者じゃないんですから。

被上告人が担当していた授業等の内容に照らすと本件講師職には介護分野以外の広範囲の学問に関する知識や経験は必要とされず、担当する職務に研究の側面は乏しいといえることからすると、本件講師職が任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるということはできない。

なぜ一般労働者と同じ扱いにすべきかという根拠がありますが、どの程度なのかは分かりませんが、教育と研究以外の行政と社会貢献が一般に言われています。教育と研究が全体のうちの何割かという話なのか書いてないのが微妙です。ここははっきり書いてほしいところです。

任期法は、4条1項各号のいずれかに該当するときは、各大学等において定める任期に関する規則に則り、任期を定めて教員を任用し又は雇用することができる旨を規定している(3条1項、4条1項、5条1項、2項)。これは、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与するとの任期法の目的(1条)を踏まえ、教員の任用又は雇用について任期制を採用するか否かや、任期制を採用する場合の具体的な内容及び運用につき、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨によるものと解される。そして、任期法4条1項1号を含む同法の上記各規定は、平成25年法律第99号により労働契約法18条1項の特例として任期法7条が設けられた際にも改められず、上記の趣旨が変更されたものとも解されない。そうすると、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職の意義について、殊更厳格に解するのは相当でないというべきである。

法の趣旨はその通りです。

生活福祉コースにおいては、被上告人を含む介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されており、実務経験をいかした実践的な教育研究が行われていたということができる。そして、上記の教育研究を行うに当たっては、教員の流動性を高めるなどして最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい面があり、このような教育研究の特性に鑑みると、上記の授業等を担当する教員が就く本件講師職は、多様な知識又は経験を有する人材を確保することが特に求められる教育研究組織の職であるというべきである。
したがって、本件講師職は、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たると解するのが相当である。


個別具体的なコース名を書いていますが、ほかの分野でもそうでしょうね。これはぐうの音も出ませんでしょ。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 岡 正晶
裁判官 安浪亮介
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

この辺りは法の不備がありますね。例えば、入試の作成、採点、合否判定は学校教育法で定められていますが、非常勤の日程時間割調整って教員がやる仕事ですか?高校予備校への営業ってそれは教員の仕事ですか?酷いところだと今は無き創造学園大学では教授が購買部のレジ打ちまでやっていたとか。似たような話は着ぐるみを着せられて、学園祭とオープンキャンパスに参加しろという命令があった大学もあるとか。
一方で30年間論文のない教授もいるそうです。ある程度基準があってもいいんじゃないですかね。