お雛さま、ずっと出して置きたいお父さん

　　　　　　　　　　　　　　　　　（7段に飾ったSちゃんのお雛さま）

『Sちゃんの入園式は何日かな』と尋ねます。
今日は、Wさん宅に冷蔵庫を納品です。家の前に到着、トラックの音の気配を感じたのでしょうか、可愛いSちゃんと弟の仲良し姉弟はキャッ、キャッと嬉しそう、「電気屋さんが来たよ～」と云う弾んだ声が聞こえます。
しまった～、うっかりしていました。『悪かったね～、電気屋のおじさんはな～んにもお土産がなくって』と謝ります。
お母さんは、「いいよ、いいのよ、そんなこと気にしなくってよろしいのに」と、やさしくお話です。

幼稚園の入園式は9日だそう、茶の間から川向こうに見える校庭の桜は、まだ2分咲きの様子、入園式まであと三日あります。満開の桜が、Sちゃん達を迎えてくれたらいいねなんて話しかけます。
『よっしゃ、入園式までにまた寄るわね、お楽しみ～』と約束です。

部屋には、立派な7段飾りのお雛さまが出ています。
『あら～、3月3日はとっくに、4月3日も過ぎているのにお雛さま出したまま、早く仕舞わないとSちゃんお嫁に行けないよ』と話しかけると、お母さんは、
「お父さんなんて一年中出して置けばいいんだって、お嫁に行ってほしくないんだって」と説明です。

本日納品の冷蔵庫が15年間くらい働いた頃、Sちゃんは20歳。その頃になってお父さんはどうするのでしょうか。
「娘は絶対嫁には出せへんよ～」と泣かれるのでしょうか。今から心配になります。