ジュゴン掲示板

ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)は日本では沖縄にのみ生息しているジュゴンを守るために活動をしています。

防衛省環境省交渉の報告(11月29日)~政治家、官僚は国民の立場に立って!!

2024年12月04日 | ジュゴンブログ
11月29日防衛省と環境省交渉を持ちました。
毎年4,11月と年2回交渉を持つことで、
国際的なジュゴン保護の動きをふまえてジュゴン生息地の保護や、
やんばるの森の保護について政府の責任を追及してきました。

今回の交渉の感想ですが、
防衛省担当は米国連邦議会などの動きについては勉強不足(マスコミの情報程度)、
環境省担当は在日米軍基地問題については触れたくない(沖縄県との分担主義)
の姿勢がありありでした。
また、日米関係においては「日本国民の利益を守る」姿勢にまったく欠けていることです。
以下、報告します。

防衛省交渉の冒頭、
署名「ジュゴンの海とやんばるの森を守りたい!
辺野古のすべての工事を中止してください!」を1942筆提出しました。


まず、防衛省から提出された回答文に参加者から質問。
その後、今回の重要な論点に絞って交渉しました。

1.A護岸工事など軟弱地盤にともなう工事の関する環境保全措置が
工事海域内しか検討されていません。
土砂運搬船が出す水中音がジュゴンへの影響を検討していないことを批判しました。

「沖縄県が要求した環境保全措置」の事業者対応(令和6年5月・第48回環境監視等委員会資料)でも、「生息範囲の沿岸域から10キロ離れて航行している」との対応しかしていません。

このことが、うるま市宮城島(中城湾港)から大浦湾に向けて、
平気でジュゴンの生息地である金武湾、勝連半島周辺を土砂運搬船が縦断しているのです。
(参考)p.10ジュゴン生息主要海域位置図(平成29年度沖縄県)
https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/859/h29houkokusyo-gaiyouban.pdf

1-2.大浦湾での杭打ち工事の水中音の調査地点でも大浦湾外に1か所設定しています。かってジュゴンが生息していた嘉陽沿岸域だからとのことです。ジュゴンは海草藻場(餌場)を回遊する動物なので、調査地点は大浦湾内外に複数個所設定すべきではないでしょうか。

2.米国連邦議会モイラン下院議員(軍事委員・グアム選出)が米国会計検査院に「辺野古新基地建設の検証を求めた書簡」を送りました。(私たちは全文を入手しました)
(参考)琉球新報(24年9月12日)

以下、7項目を要約します。
1.普天間基地建設の進捗状況の詳細な説明
2.24年1月の新基地建設開始以降に開始した課題の評価
3.建設現場周辺の海底状況及び日本政府が提案する軟弱海底補強工事の詳細報告
4.地盤補強工事が海兵隊の将来の活動に影響を及ぼすかどうかの評価
5.海底地盤が不同沈下を引き起こし、米国に長期的な維持費を増加させないか
6.建設地付近の二つ断層が地震を引き起こし、施設の構造安定性に影響を与えないか
7.建設工事による遅延や予算超過の可能性に関する評価


 防衛省は「日米間では地盤改良工事等の内容についても、米側に説明し確認してきており、
日米間に見解の相違はない」「沈下対策も十分対応可能であり、滑走路についても飛行場として問題なく運用可能である」と答弁しています。
これでは、モイラン下院議員の上記7つの質問への答えになってはいません。

3.米軍北部訓練場の米軍廃棄物の撤去について「全域で行う予定はない」と無責任な態度をとる一方、「廃棄物が発見確認されたら防衛省が処分する」との回答しています。防衛省の無責任さを追及するうえで、「廃棄物を発見する人は誰ですか」「誰に期待しているのですか」との質問に答えられない防衛省を批判、その無責任性を追及しました。

(環境省交渉)
防衛省は新基地建設による環境保全を行う海域を工事海域内にとどめています。
また、ジュゴンの生息調査については沖縄島本島周辺は沖縄県が、環境省は先島諸島を主に担当しています。このような現状がもたらしている問題点を追及しました。

1.沖縄県は再三にわたり沖縄防衛局に工事関係船舶が与えている環境影響について保全措置をとるように要求してきました。
例えば、沖縄防衛局に「石材運搬船などの航行状況とジュゴンの生息範囲の変化について考察し、…必要な環境保全措置を講じること」を求めた防衛省の回答は、
「沿岸から10キロ以上離れて航行する」(第48回環境監視等委員会・令和6年5月/資料4「県知事による環境保全措置要求について」の「項目8ジュゴン(1)イ)
これが科学的な環境保全措置になるのですか。
しかし、環境省は「防衛省は環境監視等委員会の指導助言を踏まえて適切に行われている」と
無責任な回答をしています。

2.防衛省がうるま市宮城島(中城湾港)から大浦湾へ埋め立て土砂を搬出することで、
ジュゴンの生息海域(勝連半島、金武湾周辺の海草藻場など)に影響を与えることに無関心な環境省にジュゴン保護の資格はありません。生物多様性国家戦略を実行できるはずもありません。

3.沖縄県は「令和5年度ジュゴン保護対策事業」報告書で、「ジュゴンの生息数は少なくとも8頭、母子3組」と発表しました(24年8月29日)。この沖縄県の新たな見解について環境省は、「評価を差し控える」と回答しました。先島諸島周辺の調査を継続しているからとの事情のようです。沖縄県との真剣な議論を継続的にしているのでしょうか。心配です。

4.米軍の北部訓練場でヘリパッド拡張工事に伴う自然破壊が起こっています。
(参考)「北部訓練所場機能強化進む やんばるの自然破壊危惧」(沖縄タイムス8月12日)
環境省は「日米合同委員会での議論は公表できない」としています。
しかし、日本環境管理基準は「帝王可能な国際約束を比較素、もっとも保護的なものを採用する」(第1章1目的)です。
したがって、日本政府は米国政府に生物多様性条約順守の立場から意見を言うべきで、米国政府は在日米軍に事実経過を聴聞し、指導すべきなのです。なぜ、米軍に気を使い配慮しているのでしょうか。

 ジュゴンの保護者より 政治家、官僚は日本国民の立場に立って!!






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