7月21日に、第8回ジュゴンオンラインセミナー『辺野古のサンゴ移植は失敗:絶滅危惧種のオキナワハマサンゴは守れなかった』を開催しました。
講師は大久保奈弥さん(東京経済大学教授、サンゴを中心とした海洋生物学研究者)です。
”サンゴ移植でサンゴを増やす”というのは、何か良い話のように思われますが、
実際には、サンゴ移植でサンゴは増えず、サンゴ礁生態系は復活しません。
サンゴ礁生態系を移植サンゴで救えることはまずないそうです。
壊されそうなものを防ぐのは難しいのです。
恩納村などでのサンゴ移植後の調査結果です。
1割しか生き残らず、弱い種類は全滅しています。
辺野古でも防衛省が移植したオキナワハマサンゴは強い種類だが全滅しました。
もともと棲んでいた好きな場所、生きやすいところから合わないところに移植されて
しまったのですから。
環境保全措置(環境を守るための防衛省側の約束)での
サンゴの移植を巡る国と県の解釈の違いです。
この文章で、”工事前に必要なのは指導・助言まで”というのは、あまりにも無理があります。
防衛省は移植を盾に工事を進めたいが、移植できる許可が沖縄県から出ないから、
移植しないで工事が出来るようにこのように解釈したということです。
無理やり工事をするときに、お墨付きを与えるのが環境監視等委員会です。
専門家が大丈夫だと言えば、一般の人はそうだと思ってしまいます。
専門家が別の専門家の間違っていることを批判しないと国がおかしくなってくると、
大久保さんはご自身のブログでも、きちんと批判されています。
移植申請を許可しない玉城デニー知事に農林水産相が出した是正指示は違法だとして、
知事が指示の取り消しを求めた裁判で5人の裁判官のうち2人が知事の対応を是認しました。
辺野古サンゴ訴訟、沖縄県の敗訴確定 2人が反対意見
大久保さんも沖縄県の資料を読み込み、裁判に意見書を出されました。
こういった問題で国側につくことがほとんどなのに、ふたりが沖縄県側についたことは大きいとおっしゃいました。
”辺野古側は埋め立てられてしまったけれど、ここまでのプロセスを検証し、
次につなげていく事が大事。あきらめずに大浦湾側の埋め立て阻止につなげていこう。
自分の主張を強くするためにも、浦添のサンゴなどにも目を向けてほしい。
成果を記録し蓄えて、今後に備えていく、あきらめずに共にがんばろう。
あまり悲観的にならず、今ある自然を大切にし、子や孫の世代に残していこう”
との大久保さんの言葉に、希望と元気をいただきました。
大久保さんの、専門的知識に基づいた批判やご意見に励まされ、
サンゴについても興味深く、お話を伺いました。
サンゴについてもっと知りたい方は、大久保さんの著書「サンゴは語る」がおススメです。
このオンラインセミナーは、8/21までアーカイブ視聴の申し込みが出来ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://blog.goo.ne.jp/sdcc/e/e4a1746e549ed0138ec9bb015c73282e