22日の島津さんをお迎えしての
アセス「方法書」学習会(in大阪)を踏まえて
意見書(第2版)を作成しました。今日、意見書
第1版、2版とも沖縄防衛局に
FAX送信しました。
掲示板で賛同を募集し、メールをいただいた方の意見書は第1版のものですので、
第1版にお名前を添付し、送付しました。賛同ありがとうございました。
なお関西事務所からは、学習会で作成したもの、街頭やイベントで集めた分、
メールで賛同いただいた分を含め、113通の意見書を送付しました。
ご協力ありがとうございました。
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普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書への意見書(第2版)
ジュゴン保護キャンペーンセンター
事務局長 蜷川義章
2007年8月より那覇防衛施設局によって「普天間飛行場代替施設
建設事業に係る環境影響評価方法書」が広告縦覧されました。この
方法書が対象としている「普天間代替施設建設事業」は沖縄ジュゴ
ンの生息海域の中心で計画されている大規模な埋め立てを伴う米軍
基地建設です。 一方沖縄ジュゴンは世界の北限のジュゴンで、個体
数は50頭未満と推定されます。2004年国際自然保護連合(IUCN)
の第3回世界自然保護会議(バンコク)は沖縄ジュゴンの保護計画の
作成と保護区の設置、ゼロオプション(計画中止)を含む国際水準での
環境アセスメントの実施を日本政府に勧告しました。そして今年の8月
3日に環境省は沖縄ジュゴンを「レッドリスト」の最も高い絶滅危惧1A類
に分類しました。「レッドリスト」への分類を踏まえ、ジュゴンを種の保存
法の指定種にし、具体的な保護計画を策定し保護区を設置することが
求められています。 したがって、今回の「普天間飛行場代替施設建設
事業に係る環境影響評価方法書」にあっては、単に基地建設の環境影
響の調査方法を記すだけではまったく不十分です。ジュゴンとジュゴンの
生きる環境すべての積極的な保全方法および基地建設による環境影響
と回避の可能性に関して、あらゆる角度からの検討が必要です。 しかし
、今回の方法書はまったく落第です。まずジュゴンが絶滅危惧種であると
の記述がありません。積極的なジュゴン保護計画が必要という基本認識
がないのです。建設予定地の辺野古崎一帯は、豊かなサンゴ礁生態系
を形成している場所で、海草藻場が発達し、海草をエサとしているジュゴ
ンの目撃例もこのあたりに集中しています。埋め立てにより、キャンプシュ
ワブ前浅瀬の良好な海草藻場が失われますが、更に潮流の変化等で、広
くこの海域の海草藻場、ジュゴンなどの生物が悪影響を受けることは明ら
かです。これらの環境影響に対して、方法書は「4.4 評価の手法の選定
(1)影響の回避・低減について」で「対象事業の実施により選定項目に係
る環境要素に及ぶおそれのある影響が、実施可能な範囲でできる限り回
避され、又は低減されており、必要に応じその他の方法により環境の保全
についての配慮が適切になされているかについて検討します」と記すのみ
です。影響回避の選択としての「ゼロオプション(計画中止)」の記載もあり
ません。ちなみに全体で約300ページの方法書のうち環境影響の回避・低
減に関する記述は1ページのみです。さらに今回の方法書がジュゴン保護
をまじめに考えていない事例をあげます。まず方法書にはジュゴンの調査
期間が書かれていません。ジュゴンの出産間隔(3~7年)を考えると、10
年以上の長期の調査が必要です。また現在アセス法に反して行われてい
る事前調査で、海草藻場への来遊確認をする機器(パッシブソナー、水中
カメラ)を数十箇所に設置しています。しかしこの方法は沖縄のように個体
数の少ない地域での有効性は確かめられていない上に、大型の機器の設
置は、ジュゴンが水路を利用しにくくし、海草藻場に入れない可能性すらあ
ります。ジュゴンに圧力を加え、有効性も検証されていない調査は全く非科
学的です。このような非科学的な調査を地元住民や環境団体などのい反対
を押し切って進めるのはなぜでしょうか。「ジュゴンの調査を行なった」という
既成事実のみを積み上げようとしているとしか思えません。 このように今回
の方法書はジュゴン保護の基本認識を全く欠き、環境アセスメントを「基地
建設のためのアリバイづくり」に形骸化するものです。
したがって直ちに撤回し再提出を求めます。
そして方法書に以下の点を示すことを求めます。
1.沖縄ジュゴンが絶滅危惧種であり、保護計画保護区の設置が必要で
あることを考慮した調査方針を示すこと。
2.沖縄ジュゴンは、50頭以下とも推測され、かつ生態も不明な点が多い。
したがって事業の影響予測にあっては不確定性が大きいことを考慮した
調査方針、影響回避低減の方針を示すこと。
3.複数の代替案の比較検討を行うこと。代替案には「ゼロオプション」を
必ず含めること。
辺野古・大浦湾一帯の海は多種多様な生きものを育み、地元の人々は海
とともに生きてきました。IUCN(国際自然保護連合)の2度にわたるジュゴン
保護勧告からもわかるように、辺野古は世界的にも注目されています。
また環境アセスメントにおいては、複数の代替案の比較検討や影響の不確
定性の考慮は世界的には当たり前であるばかりか、中部国際空港など国内
においても考慮されるようになっています。
まともなアセスメントが行われるなら、「ゼロオプション」しか選択の余地が
ないと確信しています。沖縄防衛局が、ジュゴンと環境保護の国内外の世論、
そして環境アセスメントの常識にしたがい誠実な対応をされることを強く求め
ます。