6月29日にSDCCは沖縄防衛局と環境省に公開質問状を送りました。
私たちのスタッフが提出した準備書への意見「平成17年3月7日に辺野古沖で発見されたNO16-9ジュゴンを記載していない」を無視し、「平成12年度以降は辺野古沖でジュゴンは発見されていない」と嘘をついています。許してはなりません。
沖縄防衛局が平成19年8月に公告縦覧した方法書にはNO16-9ジュゴンが明記されているにもかかわらず、準備書にはその資料は掲載していません。辺野古にジュゴンが回遊しては、辺野古沿岸の海草藻場を破壊すること出来ないからです。
このような準備書を認めることは出来ません。7月3日(金)午前10時からの沖縄防衛局交渉や、県議会終了後に開かれる沖縄県環境影響審査会で厳しく追求しなければなりません。
平成19年8月 方法書 NO16-9(緑色の○)ではジュゴンが辺野古に来遊!
なぜ無視するのでしょうか?!
以下、公開質問状を掲載します。
2009年6月29日
沖縄防衛局長 真部 朗殿
環境大臣 斉藤哲夫殿
ジュゴン保護キャンペーンセンター
代表 海勢頭豊
<公開質問状>
1.防衛省は環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査報告書」を、なぜ改ざんしたのですか。
2005年(平成17年)3月7日に環境省が辺野古で発見したNO.16-9ジュゴンを、防衛省は環境省「平成16年度ジュゴンと藻場の広域的調査報告書」から削除し、準備書に引用しています。準備書第6章の表6.16.1.7「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴンの最小発見個体数」には、NO16-9ジュゴンについての記載はありません (資料1 6-16-46)
図6.16.1.27「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴン確認位置及び調査時期別の最小発見個体数」でもNO16-9ジュゴンは記載されていないことからも明らかです(資料2 6-16-48)
また、09年6月15日に沖縄県に提出した「住民等意見の概要と事業者の見解」(沖縄防衛局作成)の「(16)ジュゴン」でも、「ジュゴンの生息は辺野古沖では平成11年度まで…確認されましたが、その後は確認されていません」(p75 NO9)と、辺野古で発見されたNO16-9ジュゴンの存在を認めていません。(資料3 P75)
しかし、平成19年8月に那覇防衛施設局(当時)が提出した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」の表3.1.5.4「ジュゴンの確認状況」(3-63)には、NO16-9ジュゴンは「宜野座~辺野古沖」で14時29分に発見したと明記しています(資料4)
また、表3.1.5.10「ジュゴンの分布及び行動調査結果概要」(3-67)にもNO16-9ジュゴンが「宜野座沖~辺野古沖、成獣、7時間11分」回遊したことが詳しく書いています(資料5)
なぜ、沖縄防衛局はNO16-9ジュゴンを目の敵にするのでしょうか。
環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査―平成13年~17年度結果概要」(平成18年12月26日)の図5では、NO16-9ジュゴンが宜野座沖から辺野古沖への7時間11分の移動が15分ごとの緑点で示されています。(資料6 P13)
表2ではNO16-9ジュゴンが「辺野古沖をゆっくりと北上し、長島・平島あたりでUターンして南下」と当日の行動を解説しています(資料7 p12 同上)。辺野古沖でジュゴンが発見されては、辺野古の海草藻場を埋め立てることができなくなるからです。
2. ジュゴンが辺野古の海草藻場を必要としていないと思いますか。
辺野古沿岸の海草藻場は沖縄本島最大の藻場であり、その海草藻場でジュゴンの糞や食み跡がしばしば発見されています。
(資料8 日本自然保護協会・図2 2005年9月作成)
この最大のジュゴンの餌場、辺野古・大浦湾の海草藻場78.1haが埋め立て事業で破壊されます。その面積は、嘉陽沿岸や古宇利島沿岸の海草藻場の面積をはるかに上回ります。
しかし、沖縄防衛局は過去の調査結果を無視し、「辺野古沿岸にジュゴンの食み跡は確認されませんでした」と、海草藻場78.1haの保全措置をとる必要がないとしています。ジュゴンは毎日、平均体重300キロの1割の海草を食べるといわれています。海が汚染され希少価値となった海草藻場を、しかも最大の海草藻場がある辺野古沿岸を、ジュゴンが必要としていないはずはありえません。
なぜジュゴンが利用できなかったのかをこそ検討すべきではないでしょうか。このことは、6月15日に開かれた第1回沖縄県環境影響審査会でも指摘されています。
環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査―平成13年~17年度結果概要」(平成18年12月26日)は、「利用されなかった海域の海草藻場については、想定される理由について整理することが必要である」と述べ、「本調査においてジュゴンの利用が確認されなかったことをもって、利用する可能性がないとは言えない」(p17)と指摘しています。(資料9)
沖縄防衛局はこの指摘に明確に答える責任があります。
絶滅の危機にある沖縄ジュゴンにとって、餌場である海草藻場の環境保全はきわめて重要な課題です。沖縄防衛局が埋め立て事業で破壊される海草藻場の代償措置すら検討していないことは、沖縄ジュゴンを絶滅に追い込んでいることと同じです。
3.上記の2点を指摘した意見をなぜ取り上げなかったのですか。
名護市在住のYさんは、以上2点を準備書への意見として提出しました。しかし、6月15日に関係自治体に提出された沖縄防衛局の「住民等の意見概要と事業者の見解」には取り上げられませんでした。沖縄防衛局は自らに都合の悪い意見や指摘を無視して、関係自治体にも明らかにしていません。市民が提出された意見すべてを公開し、科学者の論議に付すべきです。
4.環境省は直近の調査結果をホームページになぜアップしないのですか。
最後に、環境省のホームページ(資料10)では「自然環境・自然公園」の「野生生物」をクリックすれば「ジュゴンと藻場の広域的調査」が出てきます。
しかし、掲載されているのは平成15年度までの調査結果で、2005年3月7日に辺野古沖で発見されたジュゴンが掲載されている「平成16年度調査結果概要」や、「平成17年度調査結果概要」、「平成13年~17年度調査結果概要」は、そこにはみあたりません。
(資料11)
では、どこに掲載されているのでしょうか。
ホームページの報道発表資料の中に隠されています。膨大な報道発表資料の中から探し出すには、報道発表年月とカテゴリー、キーワードを入力しなければなりません。2005年12月~2006年12月、自然環境・自然公園、ジュゴンを入力すれば上記三つの調査結果概要を検索することが出来ます(資料12)
なぜ、環境省は「新しい」しかも「総括的な」調査資料を国民の目に届かないところにおいているのでしょうか。平成13年~15年度結果概要につづいて掲載すべきではないのでしょうか。環境省にその説明を求めたいと思います。
(お詫びと訂正)
公開質問状の「1)防衛省は環境省の「ジュゴンとも版の広域的調査報告書」をなぜ改ざんしたのですか」の第3段落目末尾の「方法書に掲載した資料を準備書で掲載しなかったのはなぜですか」は事実誤認でした。
準備書第3章の71ページと、79ページに掲載されていました。
お詫びし訂正します。
しかし、問題点は変わりません。
方法書の資料を掲載したのは準備書第3章「対象事業が実施されるべき区域及びその周囲の概要」であり、
肝心の第6章「調査結果の概要並びに予測及び評価の結果」の16ジュゴンの調査結果の項目には掲載しませんでした。
すなわち、予測及び評価につながる調査結果の概要のところで、12年度以降は辺野古にジュゴンはいなかったとしたのです。
ましてや、事業者見解で「12年度以降は辺野古沖でジュゴンは発見されていない」ということを明文化したことは致命傷となりました。
(関連記事)
・辺野古のジュゴンなぜ記載しない 沖縄防衛局に保護団体質問状(東京新聞)
・普天間移設アセス準備書 ジュゴン発見、未記載(琉球新報)
私たちのスタッフが提出した準備書への意見「平成17年3月7日に辺野古沖で発見されたNO16-9ジュゴンを記載していない」を無視し、「平成12年度以降は辺野古沖でジュゴンは発見されていない」と嘘をついています。許してはなりません。
沖縄防衛局が平成19年8月に公告縦覧した方法書にはNO16-9ジュゴンが明記されているにもかかわらず、準備書にはその資料は掲載していません。辺野古にジュゴンが回遊しては、辺野古沿岸の海草藻場を破壊すること出来ないからです。
このような準備書を認めることは出来ません。7月3日(金)午前10時からの沖縄防衛局交渉や、県議会終了後に開かれる沖縄県環境影響審査会で厳しく追求しなければなりません。
平成19年8月 方法書 NO16-9(緑色の○)ではジュゴンが辺野古に来遊!
なぜ無視するのでしょうか?!
以下、公開質問状を掲載します。
2009年6月29日
沖縄防衛局長 真部 朗殿
環境大臣 斉藤哲夫殿
ジュゴン保護キャンペーンセンター
代表 海勢頭豊
<公開質問状>
1.防衛省は環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査報告書」を、なぜ改ざんしたのですか。
2005年(平成17年)3月7日に環境省が辺野古で発見したNO.16-9ジュゴンを、防衛省は環境省「平成16年度ジュゴンと藻場の広域的調査報告書」から削除し、準備書に引用しています。準備書第6章の表6.16.1.7「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴンの最小発見個体数」には、NO16-9ジュゴンについての記載はありません (資料1 6-16-46)
図6.16.1.27「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴン確認位置及び調査時期別の最小発見個体数」でもNO16-9ジュゴンは記載されていないことからも明らかです(資料2 6-16-48)
また、09年6月15日に沖縄県に提出した「住民等意見の概要と事業者の見解」(沖縄防衛局作成)の「(16)ジュゴン」でも、「ジュゴンの生息は辺野古沖では平成11年度まで…確認されましたが、その後は確認されていません」(p75 NO9)と、辺野古で発見されたNO16-9ジュゴンの存在を認めていません。(資料3 P75)
しかし、平成19年8月に那覇防衛施設局(当時)が提出した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」の表3.1.5.4「ジュゴンの確認状況」(3-63)には、NO16-9ジュゴンは「宜野座~辺野古沖」で14時29分に発見したと明記しています(資料4)
また、表3.1.5.10「ジュゴンの分布及び行動調査結果概要」(3-67)にもNO16-9ジュゴンが「宜野座沖~辺野古沖、成獣、7時間11分」回遊したことが詳しく書いています(資料5)
なぜ、沖縄防衛局はNO16-9ジュゴンを目の敵にするのでしょうか。
環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査―平成13年~17年度結果概要」(平成18年12月26日)の図5では、NO16-9ジュゴンが宜野座沖から辺野古沖への7時間11分の移動が15分ごとの緑点で示されています。(資料6 P13)
表2ではNO16-9ジュゴンが「辺野古沖をゆっくりと北上し、長島・平島あたりでUターンして南下」と当日の行動を解説しています(資料7 p12 同上)。辺野古沖でジュゴンが発見されては、辺野古の海草藻場を埋め立てることができなくなるからです。
2. ジュゴンが辺野古の海草藻場を必要としていないと思いますか。
辺野古沿岸の海草藻場は沖縄本島最大の藻場であり、その海草藻場でジュゴンの糞や食み跡がしばしば発見されています。
(資料8 日本自然保護協会・図2 2005年9月作成)
この最大のジュゴンの餌場、辺野古・大浦湾の海草藻場78.1haが埋め立て事業で破壊されます。その面積は、嘉陽沿岸や古宇利島沿岸の海草藻場の面積をはるかに上回ります。
しかし、沖縄防衛局は過去の調査結果を無視し、「辺野古沿岸にジュゴンの食み跡は確認されませんでした」と、海草藻場78.1haの保全措置をとる必要がないとしています。ジュゴンは毎日、平均体重300キロの1割の海草を食べるといわれています。海が汚染され希少価値となった海草藻場を、しかも最大の海草藻場がある辺野古沿岸を、ジュゴンが必要としていないはずはありえません。
なぜジュゴンが利用できなかったのかをこそ検討すべきではないでしょうか。このことは、6月15日に開かれた第1回沖縄県環境影響審査会でも指摘されています。
環境省の「ジュゴンと藻場の広域的調査―平成13年~17年度結果概要」(平成18年12月26日)は、「利用されなかった海域の海草藻場については、想定される理由について整理することが必要である」と述べ、「本調査においてジュゴンの利用が確認されなかったことをもって、利用する可能性がないとは言えない」(p17)と指摘しています。(資料9)
沖縄防衛局はこの指摘に明確に答える責任があります。
絶滅の危機にある沖縄ジュゴンにとって、餌場である海草藻場の環境保全はきわめて重要な課題です。沖縄防衛局が埋め立て事業で破壊される海草藻場の代償措置すら検討していないことは、沖縄ジュゴンを絶滅に追い込んでいることと同じです。
3.上記の2点を指摘した意見をなぜ取り上げなかったのですか。
名護市在住のYさんは、以上2点を準備書への意見として提出しました。しかし、6月15日に関係自治体に提出された沖縄防衛局の「住民等の意見概要と事業者の見解」には取り上げられませんでした。沖縄防衛局は自らに都合の悪い意見や指摘を無視して、関係自治体にも明らかにしていません。市民が提出された意見すべてを公開し、科学者の論議に付すべきです。
4.環境省は直近の調査結果をホームページになぜアップしないのですか。
最後に、環境省のホームページ(資料10)では「自然環境・自然公園」の「野生生物」をクリックすれば「ジュゴンと藻場の広域的調査」が出てきます。
しかし、掲載されているのは平成15年度までの調査結果で、2005年3月7日に辺野古沖で発見されたジュゴンが掲載されている「平成16年度調査結果概要」や、「平成17年度調査結果概要」、「平成13年~17年度調査結果概要」は、そこにはみあたりません。
(資料11)
では、どこに掲載されているのでしょうか。
ホームページの報道発表資料の中に隠されています。膨大な報道発表資料の中から探し出すには、報道発表年月とカテゴリー、キーワードを入力しなければなりません。2005年12月~2006年12月、自然環境・自然公園、ジュゴンを入力すれば上記三つの調査結果概要を検索することが出来ます(資料12)
なぜ、環境省は「新しい」しかも「総括的な」調査資料を国民の目に届かないところにおいているのでしょうか。平成13年~15年度結果概要につづいて掲載すべきではないのでしょうか。環境省にその説明を求めたいと思います。
(お詫びと訂正)
公開質問状の「1)防衛省は環境省の「ジュゴンとも版の広域的調査報告書」をなぜ改ざんしたのですか」の第3段落目末尾の「方法書に掲載した資料を準備書で掲載しなかったのはなぜですか」は事実誤認でした。
準備書第3章の71ページと、79ページに掲載されていました。
お詫びし訂正します。
しかし、問題点は変わりません。
方法書の資料を掲載したのは準備書第3章「対象事業が実施されるべき区域及びその周囲の概要」であり、
肝心の第6章「調査結果の概要並びに予測及び評価の結果」の16ジュゴンの調査結果の項目には掲載しませんでした。
すなわち、予測及び評価につながる調査結果の概要のところで、12年度以降は辺野古にジュゴンはいなかったとしたのです。
ましてや、事業者見解で「12年度以降は辺野古沖でジュゴンは発見されていない」ということを明文化したことは致命傷となりました。
(関連記事)
・辺野古のジュゴンなぜ記載しない 沖縄防衛局に保護団体質問状(東京新聞)
・普天間移設アセス準備書 ジュゴン発見、未記載(琉球新報)