これはレンコンではなく蓮の茎の皮をむいたもの
蓮の茎。
瓶詰めを見かけたので買ってみることにした。
ちぎって引っ張ると蜘蛛の糸の様に細い糸がつうっーと伸びる。これなら糸を紡ぐ事が出来そうだなと思って調べてみると、紀元前四世紀頃から繊維として使用されており、蓮糸織りという物があるそうだ。しかし約1mの生地を織るのに蓮の茎が11,000本必要なほどに手間ひまがかかるため希少であり高価なのだ。
蓮糸は極楽往生の縁を結ぶという。
初めて食べる食材だったので、まず眺めたり覗いたりなめたり齧ったりした後、繊維が多いので短く切り、
きんぴら風に炒めて見た。棒湯葉があったのでそれと一緒にごま油で炒めた。
するとなかなかシャキシャキして美味しい。
蓮の花は香が高くお茶葉のを花に包み香をつけるというし(私には蓮の花の香の記憶が無い)、地下茎は美味しい、茎も美味しく、糸もとれる。蓮の実は若いうちは生食、硬くなったら甘く煮て餡を作る。
それよりも何よりも蓮は花も葉も、実に美しい植物だ。
固い蕾の時も、ふっくらほころび始めた蕾も、咲き始まりも、咲き誇る様子も、咲き終わりも、それぞれにとても美しい。
盂蘭盆には蓮の葉に供物を載せたそうだ。
偶然の事だけれど、蓮の茎を食べ、蓮に思いを馳せたのは丁度お盆だった事に気が付いた。
お盆といえば迎え火送り火に炊く"おがら”野菜で馬や牛を作り、縁側に下げられた美しい青磁色の提灯を思い出す。
(ところでおがらというのは麻の繊維を取った後の茎だということをずっと知らなかった)
そんなことをつらつら考えながら蓮の茎をまた齧る。