散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

黒い羊

2018-06-21 18:08:51 | 思考錯誤






「あなたはいつもの日本の人?」と見えない瞳をこちらに向けて答えを待っている。灰水色の目はとても大きい。
「そうですよ。今日は何の絵を描きたいですか?」と訊ねる。
「今日はアイディアがない」と言いながらもモティーフは何でも良い訳ではない。
「ここにひまわりがあるのだけれど。。。」と言うと「ひまわりは前に描いたから。。。森を描くわ」と決めた。
どんな森ですか?森には何がいる?花は咲いている?と聞くと、しばらくの沈黙の後に「黒い羊」という。
「イエス様と羊の絵を白い羊に描くけれど、あれは間違っているのよ。本当は黒い羊なのよ」というのだ。
私の記憶の中にはイエス様のそばにたむろすのは白い羊だ。
黒い羊と言ったら「厄介者」的存在だと言うことになっている。確かにイエスキリストは厄介者で弾き飛ばされる存在を救い上げるのかもしれないなあ、と思いながら森の絵の中に黒い羊を二匹描き込んだ。