「『学校事故対応に関する指針』に基づく適切な事故対応の推進について」
(文部科学省初等中等教育局長通知、2016年12月21日)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1380824.htm
文科省が「学校事故対応に関する指針」に即して、こんな通知を年末に出していたなんて、いままで気付かなかった(昨日、大学に届いた「教育新聞」を読んで、はじめて知りました)。
まずは「学校事故対応に関する指針」の周知自体が大事で、それを各地の教育行政にやらせることが必要だってことで、この通知自体は否定しない。
でも、問題は今や次の段階。「その先」に来ている。
学校現場も教育行政も、従来の事後対応と「指針」に即した事後対応とのちがいに戸惑い、さらに、調査・検証の実務に長けた研究者・専門職も著しく不足。
その一方で、起きてほしくはないけれども、次々に重大事故はおきていて、遺族・家族からの学校や教育行政への要望・苦情・批判の声も高まっている。
「このような現状のなかで、今までよりも一歩、二歩と、「指針」にもとづく取り組みを前に進めていくためには、誰が、何を、どのようにすすめていくのか?」
そういう「実務」的な議論と実践(試行錯誤)を、早急に積み重ねていかなければいけない。
このような次第で、いまや、そういう段階。文科省から各地の教育行政へ、各地の教育行政から学校現場へ、「指針の趣旨をもっと理解しろ」という通知だけ送っていれば「事足れり」じゃない。そんなことでは「何も解決しない」というか「それだけでは、まったく足りない」。
むしろ、「その『指針』の趣旨に即して、誰が、何を、どのように対応すれば、遺族・家族とのコミュニケーションが円滑にはかれるのか?」とか。あるいは「『指針』の趣旨に即した未然防止・再発防止のあり方や、調査・検証作業のあり方とは?」といったかたちで、「誰かが手とり足とり、そういう「実務」的なことを、学校現場や教育行政につきっきりで、指導・助言をする」くらいでないと・・・。
でもね、そういうかたちで「指針」に即した「実務」的な対応を「指導・助言」できる人自体が、文科省にも地方教育行政にも、そして学校事故・事件研究をしてきた研究者・専門職にも、いまは著しく不足。
まずはいま、そこから徹底的に変えていかないといけない。
そういうふうに私は思っています。
なにしろ、自分がすべての重大事故の発生した学校や教育行政をまわり、遺族・家族と学校・教育行政、双方の話をていねいに聞いて、両方がきちんとおり合った形で調査・検証をすすめていけるようにコーディネートするのは、到底無理なので。
いままでできるだけ、そういう作業をしてきましたが、もう心身ともに限界です。
いまの段階でご連絡・ご相談いただいているケースはさておき、もうこれ以上、お引き受けするのは無理です・・・。
そして、そういう課題意識に即して書いたのが、つい先日、原稿をすべて書き上げた近著(この春には出る予定)です。