今日のマスコミ報道でも大きく取り上げられていましたが、先週19日の兵庫県議会での全会一致の知事不信任決議の可決成立に対して、兵庫県知事は今月末での「失職」をいったん受け容れた上で、あらためて次の知事選挙に出馬する意向を表明したとのことです。
正直なところ「あなたはいったい、なにを考えているんですか?」と、私は兵庫県知事に怒っています。なにしろ、いまの県議たち全員にダメ出しをされているわけですよ、兵庫県知事。その県議会の方を解散するのでなく「失職」を受け容れるということは、「知事失格、ダメ宣告」を受け容れたということ。政治的には「敗北」です。それでもなお次の知事選挙に出馬する意向というのは、「いったい、どういう顔してあなたは選挙に出てきて、県民の前に立つ気なの? 正気なの?」というしかありません。
そもそもこの何か月か、県議会の百条委員会において、たとえば知事や副知事らその側近による公益通報のもみ消し疑惑(もちろん、このような対応は違法)や、知事による県庁職員へのパワハラ問題、知事が県内各地で訪れた企業・団体・商店などへの物品提供の要求(いわゆる「おねだり」)の問題など、数々の問題が指摘されています。また、知事や副知事らその側近たちの数々の不正を告発しようとしたある幹部職員が、副知事らによる高圧的な対応、パソコンのデータなどの不当な調査などの経過を背景にして、自ら命を絶つような出来事も起こっています。そして、百条委員会での聴取などをふまえて、大筋でこのような事実経過は認められてきたはずです。だからこそ、県議会は知事に対して不信任決議を出し、全会一致でそれを可決。「あなたは知事失格、ダメ」という宣告をしたわけです。
その一方で、県議会での不信任決議可決以後、知事のこの間の改革「実績」なるものを評価して擁護しつつ、知事の改革に反対する勢力に不当におとしめられているかのような意見を述べる人がいます。しかしながら、どれだけ改革に「実績」がある知事であっても、県庁内に改革に反対する職員がいたとしても、パワハラや公益通報のもみ消しなどの違法な対応は許されるものではありません。擁護派の人々は、そこが全くわかっていません。「論外」な擁護論です。
また、その擁護派の人々のいう「実績」の内実も、たとえば神戸新聞の記事「斎藤知事の「改革」、内実は? 肝いり3事業を検証 TVでは実績アピールしたが…」(2024年9月26日配信)のように、その中身に批判的なマスコミ報道もあります。たとえば、よく今の知事で財政再建に成功、調整基金の額が積み増しされたということをアピールする人がいますが、県の財政担当者によると、行政改革ではなくて税収増によるものとのことですね。そう考えると「ほんとうに今の知事で改革の成果はあがっているのか?」ということ自体、疑ってかかるべきでしょう。
ちなみに知事自体は今日の「失職、次の知事選出馬」の意向を表明した会見では、「これからも改革を継続したい」という趣旨のことを述べたそうですが…。「いったいなにを、どこまで改革して、どのくらい成果があがっているのか?」という点で、すでにその実績はマスコミ報道レベルでも疑問視されています。
これに加えて、「とにかく、今は自分がまちがっていると言いたくない。道義的に見ても法的に見ても責任のあることが多々あるのだが、それを認めたくない。だから県議会から全会一致で不信任を突き付けられ、「失職」を受け容れたとしても、あらためて知事選挙に出馬する…」っていうのが、いま、知事の思い描くストーリーのようです。でも、それでたとえ当選しても、全会一致で不信任を突きつけた県議会が、そう簡単に元の座に返り咲いた今の知事の動きを容認するとは思えません。そこに見えるのは、兵庫県政の停滞です。いま、県政を停滞させている最大の要因は、県知事の存在そのものです。
そして「失職」前になにかと在阪テレビ各局を中心に、自己正当化の話をくりかえしている知事の様子。これ自体が、亡くなった県庁職員とその遺族、今もなお県知事やその側近らの行ってきたパワハラに苦しんできた県庁職員らに対して、さらなる心身の苦痛を与えている攻撃的な行為です。いま、そのことに対する自覚がない点でも、知事にはパワハラをくりかえすような資質があるように、少なくとも私には見えます。また、そのような知事の「失職」前の動きを擁護するような一部の声にも、やはり大きな問題があると言わざるを得ません。
以上のことから、私としては、いまの兵庫県知事には「失職」後、すみやかに政界を引退していただきたいと思います。また、今後も県議会で百条委員会が開催されると思いますので、「失職」及び政界引退後もその場に出向いて、きちんと事実経過などを説明し、謝罪すべきものは謝罪していただきたい。そして、法的な責任が問われる問題が指摘されたら、きちんとそれについても対応をしていただきたい。そのことを、西宮市内在住の一兵庫県民として切実に願う今日この頃です。