いただいた甲州百目柿(山梨特産の渋柿)で枯露柿(ころ柿)作りに挑戦です。
枯露柿とはいわゆる干し柿で、名前の由来は、干している柿をよく日が当たるようにころころころがすので、ころ柿と言うと聞いたことがあります。
しかし、枯露柿という漢字を見ると、干して糖分が白く結晶して、こうをふく状態が霜が降りたように見えるので、露(糖分)が枯れて結晶になる、ということで枯露と表現したのかもしれないとも思います。
干し柿の名称としては、ほかにあんぽ柿というのがあるのですが、調べてみたところによると、渋柿を硫黄で薫蒸した干し柿をあんぽ柿というのだそうです。
普通の干し柿との違いは、単に干しただけの干し柿は乾燥して、だんだん黒く堅くなって、時間が経つと糖分が表面に白く結晶化してくるのですが、あんぽ柿は半分生のようなジューシーさで色もオレンジ色のままなのが特徴だそうです。
やわらかくジューシーなあんぽ柿か、飴色になりこう(表面に白く結晶する糖分)をふいて甘味が凝縮したものか、どちらが良いかは好みによるものでしょう。
枯露柿の作り方ですが、今回は柿の皮をむいて、ホワイトリカーを振りかけて殺菌します。
皮を剥くとき、干した時に下になる部分の皮を少しだけ残しておきます。
これは甘味を含んだ柿のエキスが落ちてしまわないようにするためです。
それから、ヘタの上についている枝を紐にくくりつけます。
そのためには、柿を収穫する時に、紐がくくりつけられるように、枝を残しておかなければなりません。(これが重要です。)
よく、写真などで見るように、農家の軒先に紐に何個も縦に結びつけられた干し柿がつるされているものを見かけますが、一本の紐に何個もくくりつける方法は、くくりつける柿の間隔をそろえるのも難しいですし、ある程度干すところに高さを必要としますから、うちでは60センチくらいの紐の両端に柿をくくりつけて振り分けにして、干すようにしています。
これなら、どこにでも干せますし、高さが確保できないところでは、紐を短く調節することもできます。
そして、どこに干すのか。
風通しがよく、よく日光があたり、雨露をしのげる軒のあるところをが最適です。
そこで、本堂の南側の回廊に物干し用のスタンドを立てて、そこに干してみることにしました。
カビが生えずに、程よく乾燥してくれるとよいのですが。
あまり、干し過ぎると、黒く堅くなってしますので、適当に乾燥したら、中にに新聞紙などを敷いた箱に入れて、こうをふかせて熟成させます。
今年はうまくできるでしょうか。チャレンジは続きます。
また、渋柿の食べ方として、焼酎などを振りかけて渋を抜いて、中がどろどろになるまで熟させてるという方法があります。
中がジェル状になっているので、スプーンですくっていただきます。
他にも、未熟の渋柿の汁を発酵させて、柿渋にするという使い方もありますね。
防水用として番傘に塗ったり、柿渋染めという染色につかわれることもあります。
甘ガキはもちろん、渋柿は食べるだけでなく、いろいろに利用されていますし、剥いた柿の皮は漬物に入れて甘みを出すために使われたり、柿の葉は柿の葉寿司にも使われます。
また、紅葉を楽しんだ後の柿の葉はすぐれた堆肥になりますし、茂った柿の葉は夏の間、日よけにもなります。
本当に柿というのはいろいろに使えるすぐれものですね。
今でも、昔からの街道筋には甘柿の木が植えられているのを見かけますが、昔は、その実はおなかをすかせた旅人が、自由に食べてもよいことになっていたそうです。
今と違って、自動販売機やコンビニエンスストアのない時代、旅人には貴重な食料だったことでしょう。昔の人の思いやりの心がしのばれます。
<枝をこのように残しておくのがポイントです。>
<干し終わった柿>