昨日に引き続き、声明コンサートの様子をお伝えします。
第二部は管弦講法法華懺法です。
これは法華懺法という法要に管弦(雅楽演奏)が加わったものです。
今回の公演は中世期の後光厳院三十三回忌の御懺法講を下敷きにして構成されたものです。
いまでは、あまり行われなくなりましたが、中世期にはこうした法要が行われていたようです。
そのため、現代に合わせた形での復元になったようです。
さて、その内容は まず、声明師さんたちが初伽陀という声明を唱えながら登場します。
その時、雅楽の笙、篳篥、龍笛の三管が同じ初伽陀の旋律を演奏します。
そして、雅楽演奏(平調音取)が終わると、調声(導師役)の発音(最初に唱える)の元、総礼三宝、供養文、法則と続きます。
いずれも、言葉に節が付けられていて、調声の発声の後に、皆が一緒に唱えます。 このときは調声役だけが立ったり座ったりする所作をします。
そして、次の呪願では、調声役と呪願師が舞台上にしつらえられた御本尊の前で所作を行います。
敬礼段では、「一心敬礼 本師釈迦牟尼佛」「一心敬礼 過去 多宝佛」というように一心敬礼の後にそれぞれの仏様の名前を唱えていきます。
これにも、節が付いています。
公演も後半になり、出演者の皆さんの調子もあがってきました。
大勢で唱えられる仏様の名前、ハーモニーもノリノリです。
ここからは、調声役だけでなく、全員で胡跪拝という立ったり座ったりする所作を仏様の名前を唱えるたびに繰り返していきます。
雅楽演奏は陪矑(ばいろ)、雅楽の中ではノリの良い2拍子のマーチ風な曲です。
続いて、六根段。 眼・耳・鼻・舌・身・意の六根に起因するもろもろの罪過を懺悔し、佛道修行に精進することを誓うというものですが、今回は短縮版なので耳・意の2根のみを行います。
ここでも、胡跪拝が繰り返されます。
四悔、会殺、お経の法華経安楽行品を唱えながら行道(舞台上をみんなで歩きます)、後唄、三帰、七仏通戒偈、そしてまたお経(見宝塔品)を唱え、唱題(南無妙法蓮華経を唱える)、回向伽陀、奉送で終了です。
さすが、何百年も続けて行われてきた法要の形、完成度が高く、心が洗われるようです。 荘厳なだけでなく、見ていて楽しい法要です。
なぜ、このような法要があまり行われなくなったのでしょう。
雅楽と式衆、人数も必要ですし、今回短縮版で1時間半、正式にやれば何時間もかかる大法要です。
それでなかなか行われなくなったのでしょうか。
あと、立ったり座ったりする動作が多く、膝にくるので、膝を痛めているとちょっと辛いんですよね。(これは理由にならないでしょうけれど)
こうして、文字で説明しても様子はなかなか伝えられませんが、本当にすばらしい法要でした。
確か、清少納言だったか、どこそこのお寺の法華懺法に出ているお坊さんはかっこいいとか、声が良かったとか、とても楽しみにしているというような話を聞いたような記憶があります。
平安時代にも同じように感じていた人がいたと思うと、今も昔も変わらないものだなと思います。
そして、これからもずっと続いていってほしいと思います。