一時帰国している友人の誘いで、歌舞伎座に「七月大歌舞伎 昼の部」を見に行ってきました。久しぶりの観劇でしたが楽しかった!華やかで迫力ある舞台を堪能しました。ちなみに話題の勸玄くん(海老蔵さんのご子息)が出演されてたのは夜の部のみですが、海老蔵さん、中車(香川照之)さんはじめ花形スターたちの演技に酔いしれました。
演目は荒物の「矢の根」、世話物の「加賀鷹」、舞踏の「連獅子」とバランスのとれたプログラム。今やたいていの演目はネットに詳しい解説が出ているので、事前に目を通して予習しておきました。
歌舞伎十八番の内 矢の根
紅白梅が咲き誇る初春。父の仇を討つため、正月も矢の根を研ぐ曽我五郎(右團次)のもとに、大薩摩文太夫が新年の挨拶にやってきて、縁起のいい宝船の絵をおいていきます。それを枕に寝ていると、夢に兄の十郎が現れ、囚われの身になっていることを告げます。飛び起きた五郎は、あわてて大根売りの馬を奪って飛び乗り、助けに向かいます...。
歌舞伎は季節感はあまり関係ないようで、以前も春に「紅葉狩」を見たことがあります。^^ 赤い隈取にお布団のような分厚い衣装をまとった右團次さんの豪快な動き。そして独特の台詞回しも朗々と、ザ・歌舞伎の様式美を堪能しました。
いざ助けに行くという場面では、太い縄が舞台の上で鮮やかにたすきに結ばれていく様子に見惚れました。馬にまたがり、大根を鞭にして出発する姿に大笑いしました。
***
盲長屋梅加賀鳶(めくらやしき うめが かがとび)
江戸の大名火消しと、悪党道元の物語。海老蔵さんが加賀藩お抱えの火消し 加賀鳶の頭である天神町梅吉と、盲長屋に住む悪党 竹垣道元の2役を演じ分けます。
アメリカのファイアファイターも毎年カレンダーになるほど人気がありますが、江戸の火消しも命知らずの勇敢な男たちで、当時の花形職業だったと、以前「お祭り」を見た時に知りました。加賀鳶と定火消(じょうびけし)の喧嘩騒ぎから始まるこの作品、粋な火消したちが勢揃いする場面はかっこよく、圧巻でした。
一方、道元は人の目をごまかすために盲人のふりをして、殺人、強盗、家では妻子に暴力をふるうとんでもない悪人。海老蔵さんが演じる道元は、目つきが鋭くいかにも悪人という風貌ながら、どこか抜けていてお茶目な魅力がありました。
加賀藩上屋敷といえば、今の東大本郷キャンパスがあるところ。最後は赤門の前で道元の捕り物劇が繰り広げられますが、当時は街灯もなく夜はまっ暗。捕り手の松蔵(中車)たちと道元が、暗闇の中、手探りで追う/逃げると攻防する、だんまりの動きがコミカルで楽しかったです。
***
連獅子(れんじし)
親獅子は仔獅子を谷底に蹴落とし、這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊りで表現。親獅子を海老蔵さん、仔獅子を巳之助さんが踊ります。
狂言師右近(海老蔵)と狂言師左近(巳之助)がそれぞれ親獅子・仔獅子に扮し、獅子の子落とし伝説を美しく優雅に舞います。2人のお坊さんによる間狂言のあとは、親獅子・仔獅子の精となって再登場。フルメイク、フル装備、長い毛をぶんぶん振り回しながら豪快に踊る親子獅子は大迫力!大興奮のエンディングでした。