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ベイビー・ドライバー

2017年08月23日 | 映画

エドガー・ライト監督によるクライムアクション映画。「きっと、星のせいじゃない。」(The Fault in Our Stars・2014)のアンセル・エルゴートが、天才的なドライビングテクニックを持つ強盗団の”逃がし屋”を演じます。リリー・ジェイムズ、ケヴィン・スペイシー、ジェイミー・フォックスらが共演。

ベイビー・ドライバー (Baby Driver)

カーアクション&音楽&ロマンス&青春映画。きっと私の好みに違いない!と楽しみにしていました。冒頭から音楽にぴたりとあった超絶ドライビングに手に汗握り引き込まれました。へヴィメタっぽいサウンドは私の好みと微妙に違って、思ったほどにはのれなかったのですが、少々粗削りなところが魅力で楽しめました。キャストもよかったです!

天才的なドライビングテクニックをもつ逃がし屋といえば、ライアン・ゴズリングの「ドライヴ」を思い出しますが、本作はその青春編といったところでしょうか。どちらもピンクがテーマカラーで、犯罪、バイオレンス、ロマンスがからむところも共通点。「ドライヴ」も音楽が印象的な作品でしたね。

ベイビー(アンセル・エルゴート)は子どもの頃に交通事故で両親を亡くし、自身も耳鳴りの後遺症に悩まされています。常にイヤホンをしてiPodに入れたロックをノンストップで聴いているところは、村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」に登場する孤独な少女、ユキを思い出しました。

ベイビーが音楽をずっと聴いているのは、耳鳴りを止めるためだけではなく、ユキと同じく、心の空白を音楽で埋めようとしているのではないかな?と想像しました。彼が聴く曲は年のわりに少々古めかしいですが、たぶん音楽好きのお母さんがよく聴いていた曲だったのではないかしら。

個人的に気に入ったのは、ベイビーと里親のおじいちゃんとのやりとり。音楽という殻に閉じこもって生きてきたベイビーが、唯一信頼し、心を開くことができたのがこのおじいちゃんだった...。そしてダイナーで働く美少女、デボラ(リリー・ジェイムズ)とは、音楽がきっかけで心を通わせるようになるのでした。

「ドライヴ」も本作も、主人公は最後にヒロインを救う道を選びます。「ドライヴ」のゴズリングは、すべての面倒を片付けてから”シェーン”のように去っていきましたが、本作ではひょっとしたら、”ボニー&クライド”みたいな結末になるのでは、と見ているうちに心配になりましたが...

途中まではなんでもありの(いい意味で)ハチャメチャな展開でしたが、ラストはがらりと雰囲気が変わり、拍子抜けするくらい”まっとうな”エンディングでした。

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