青春映画、2作品の感想です。
スウィート17モンスター (The Edge of Seventeen) 2016
ヘイリー・スタインフェルドが冴えない女子高生をキュートに演じる青春映画。公開時にRotten Tomatoesで高い評価を得ていて気になっていました。ヘイリーのことは14歳の時に「トゥルー・グリット」でデビューしてから「はじまりのうた」「ピッチ・パーフェクト2」そして音楽と折に触れ見守ってきたので、本作も楽しみにしていました。
人との関係がうまく築けず、悶々とした高校生活を送っているネイディーン(スタインフェルド)。親友クリスタの存在だけが心の支えでしたが、彼女がネイディーンの兄ダリアンとつき合うことになりショックを受けます。かっこよくて人気者の兄は、ネイディーンとは水と油。ネイディーンはクリスタに絶交を言い渡しますが...。
本作ではネイディーンは冴えない女子高生という設定ですが、大人から見るとやることなすこと、なんだか微笑ましくてかわいかった。「クロニクル」のデハーンくんみたいに屈折して内にこもるタイプではなく、誰に対しても思っていることをはっきり言えるし、自尊心を持っている子なので、これなら大丈夫...と安心して見ていました。
むしろお母さんの方が危なっかしくて心配でした。^^; そして担任の先生(ウッディ・ハレルソン)がすばらしい。ふだんは素っ気なくしていますが、ちゃんと見るところは見ていて、ここぞという時に手を差し伸べてくれるという... こういう信頼のおける大人がそばにいるネイディーンは幸せですね。
クラスメートのアーウィンもすてきな男の子でした。上級生のニックに夢中のネイディーンに、早くアーウィンの魅力に気づいて~と思っていたので、ラストの展開にはほっとしました。ぎこちなくもようやく自分の居場所を見つけたネイディーンの、はにかむような笑顔がとってもかわいかったです。
エレン・ペイジ主演、予期せぬ妊娠をした16歳の女子高生の成長を描いたヒューマンドラマ。昨年TV録画したのをようやく見ましたが、数々の映画賞を総なめにしたのも納得の、とてもすてきな作品でした。なによりすごくおもしろかった! 全体的にコミカルで明るく、最終的にジュノの成長物語になっているのがよかったです。
10代の妊娠というとどうしてもネガティブで暗い作品になりがち...と思われますが、エレン・ペイジ演じるジュノをはじめ、両親やまわりの人たちが妊娠を年齢相応のできごとととらえ、何ごとも前向きに考え行動しているのが新鮮でした。ジュノも大きなおなかで堂々と学校に通っているし、誰も彼女を貶めたりしません。もちろん退学もなし。
アメリカならではなのかもしれませんが、10代の妊娠がペナルティにならないのはすごくいいことだと思いました。子どもを産むことに決めたジュノが、新聞広告で養父母を探すというのもお国柄でしょうか。見つけたヴァネッサ&マーク夫妻は、経済的に恵まれ、人柄もよい理想の養父母。2人は子ども部屋も用意し、赤ちゃんを迎える準備をしていましたが...。
子どもを楽しみにしているヴァネッサに対し、マークの方は父親になる心の準備ができていなかったようです。ジュノと接しているうちに、ミュージシャンになりたいというかつての夢に目覚めたマークは、なんとヴァネッサと離婚してしまいます。大人の人生を変えてしまうJKパワー、恐るべしです。
ジュノの通院に付き添った継母が、10代の母親の子育てに対して否定的なことを言った検査技師をやりこめる場面が痛快でした。父(J・K・シモンズ!)も継母も、ふだんはどちらかというとさばさばしていますが、ここぞという時に力になり、全力で守ってくれるところに娘に対する深い愛情を感じました。
見た目は相変わらず子供だけれど、10か月の間にさまざまなことを学んでひと回り大きくなったジュノがまぶしく、愛おしく感じられました。