ヒュー・ジャックマン主演、19世紀のアメリカで活躍した興行師、P・T・バーナムの半生を描いたミュージカルです。「ラ・ラ・ランド」のベンジ・パセック&ジャステイン・ポールが音楽を手掛けています。
グレイテスト・ショーマン (The Greatest Showman)
19世紀半ばのニューヨーク。仕立屋の息子バーナム(ヒュー・ジャックマン)は、出入りしていた名家の令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚。2人の娘に恵まれつつましくも幸せな生活を送っていましたが、勤めていた会社が倒産し、バーナムは小男や大男、ひげ面女や刺青男、軽業師たちを集め、サーカスをはじめます。
興行は成功するもショーへの反感は大きく、一流と認められなかったバーナム。ビジネスパートナーのフィリップ(ザック・エフロン)の伝手でヴィクトリア女王に拝謁するチャンスを得たり、そこで出会ったオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファガーソン)のアメリカ公演を成功させたりと奮闘しますが...。
ミュージカルが好きなので楽しみにしていた本作。初日に見に行ったら平日にも関わらずほぼ満席でびっくりしました。P・T・バーナムが作ったサーカスは、彼が亡くなった後に2度の合併で、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスというアメリカ最大のサーカスになります。
私も以前、このサーカスの巡業公演を見たことがありますが、映画にあったような見世物的なショーではなく、綱渡りや空中ブランコ、ライオンの火の輪くぐりなど、本格的で大掛かりなショーでした。中でも何頭ものゾウが会場を練り歩く様子は圧巻で、特に心に残っています。
ニューヨークで巡業がある時は、サーカス列車から下りたゾウが隊列を組み、橋を渡ってマンハッタンを練り歩くというのが毎年の風物詩となっていました。当時のニュース(画像・映像あり)をリンクしておきますね。
Say goodbye to Ringling elephants walking through the street - Splinter (2015/03/05)
こんなに大胆なことを思いついて話題をさらうのは、さすがはP・T・バーナムのDNAを受け継いだサーカス!と映画を見て納得しました。しかしリングリング~サーカスは、動物愛護団体からの圧力もあって2015年にゾウのショーを中止。それ以降は観客が減少して経営難に陥り、2017年、150年の歴史に幕を閉じました。
さて... 映画の方は、オープニングに続く A Million Dreams からもう感動して、涙でぼろぼろになりながら見ていましたが、バーナムが見世物的なショーを思いつくところから、少々気持ちが離れてしまいました。もちろん音楽はすばらしかったし、ストーリーは前向きで、俳優さんたちの魅力で楽しくは見れたのですが...。
おそらくこの作品は、バーナムが社会的に弱い立場にいた人たちに光を当てたということを伝えたかったのだと思いますが、そのわりには肝心の時に逃げていたように感じてしまって... むしろビジネスパートナーのフィリップの方が、ずっとがんばっていました。^^
でも希代のアイデアマンで、時に人々に蔑まれながらも興行の世界で成功し、歴史に名を残したバーナムは、間違いなくアメリカンドリームを実現したひとり。ヒューが演じると、アクの強いバーナムも、バイタリティあふれる好人物に見えました。