フェリシティ・ジョーンズが、現役最高齢のアメリカ最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグを演じる伝記ドラマ。ギンズバーグが弁護士として、史上初の男女平等裁判に挑む姿を描きます。
ビリーブ 未来への大逆転 (On the Basis of Sex)
狭き門をくぐってハーバード大のロースクールに入学したルース(フェリシティ・ジョーンズ)は、人一倍の努力と夫マーティン(アーミー・ハマー)の協力によって、ロースクールを首席で卒業しますが、女性であることを理由にどの法律事務所からも断られてしまいます。
やむなく大学で法学を教える道を選んだルースは、マーティンからある男性差別の訴訟の案件を聞きます。長らく性差別問題に取り組んできたルースは、この訴訟に勝つことが性差別を是正する突破口になると信じ、国を相手に法律を変えるべく、弁護を引き受けることを決意します...。
ブラック・クランズマンの翌日に見に行きましたが、こちらはもうひとつのマイノリティ、女性の人権をテーマにした作品です。女性が道を切り開く話が好きなので楽しみにしていましたが、期待通りにわくわくさせてくれる作品でした。RBG(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)の伝記としても興味深く見れました。
清潔感があって、ゴールに向かってひたむきに突き進むルースに、フェリシティはぴったりのキャスティング。余談ですが、彼女のクラシックなファッションもとても好きです。(娘のジェーンからはダメ出しされてましたが) 勝負どころでつけるアンティークのブローチはお母さんの形見なのかな?と想像しました。
理解ある夫や、一番身近な同性の味方である娘から励まされ、家族の絆の物語になっているところもよかったです。
いくつか印象深いシーンがありました。例えば、通りがかりの工事夫たちからのセクハラ発言に、ジェーンが猛然と言い返すところ。もう20年前とは違うと知ったルースは、娘の姿に背中を押されるように、訴訟を引き受ける決意を固めます。
ルースの家での、本番前の模擬裁判の場面も心に残りました。優秀でまっすぐなゆえに正論に走り、相手のペースに飲み込まれてしまったルースに、彼女の思いを誰よりも知り、弁護士として確かな経験を積んできたマーティンが、適切なアドバイスによってルースを励ますシーンがとても好きです。
史上初の男女平等裁判が、女性の権利を認めさせるための裁判でなく、男性が不利益を被らないための裁判だったというのも興味深かったです。男性のため、女性のため、と分けて考えるのではなく、トータルで人権を考えることがよりよい社会につながる...今の多様化社会を先見するような裁判でした。
判例にとらわれていては、100年経っても社会を変えることはできない。ルースの長年の思いの丈を込めた渾身のスピーチは圧巻でした。新しい扉を開くこと、自分の信念を貫くこと、年齢にとらわれないこと。RBGの生き方は、今の私たちに勇気を与えてくれます。
5月には「RBG 最強の85才」というドキュメンタリー映画も公開されるそうで、こちらもいずれ見てみたいです。