@「生き残るために嘘をつき他人に罪をなすり付ける」そのきっかけは戦時中、14歳の時から始まり、生涯「嘘と詐欺」の繰り返し続けた老紳士ロイ。自分を騙し他人を騙し続け罪の意識が無くなったことがとても悲しく映り、人間「慣れ」というものが、如何に人間を狂わせ、行動をさせるのかと恐怖を感じた。
#138老たる詐欺師
ニコラス・サール2021年10月
「概要」インターネットを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。お互い高齢の彼らは親睦を深め、共同生活を送ることになる。だがそれはロイによる策略だった。彼はこれまで数々の人間を騙し、陥れてきたベテランの詐欺師だったのである。ロイは悠々とした老後を過ごすべく、ベティの資産を奪い取ろうと着々と計画を進めていくが……。冷酷な犯罪と並行して明らかになっていくロイ自身の秘められた過去。嘘と偽りに満ちたその生涯の奥底にあるものとは
ー1938年、14歳のロイ、本名ハンスはドイツにある資産家の一家を妬み、その4人娘の一人が好きだったがその家族から除け者扱いされた。そしてハンスはナチスに一家は反政治的活動をしているユダヤ人だと告発。一家は捉えられ父親は処刑、母親含め2人の姉たちも収容所ホロコーストで殺害された。唯一2人の娘は処刑寸前に終戦で生き残り、エリザベス(リリ)は英国の大学教員の夫婦に引き取られ養育された。
ーエリザベスは大学の教鞭後、自分の家族の追跡と誰が家族を告発したのかを調査するとこに専念した。するとハンスという男が浮上し、ハンスにその罪を認めさせるために仕掛けをつくった。
ードイツを離れイギリスに逃れ住み込んだハンスは名前を色々変え、最後にロイと名乗った。それは14歳から今まで自分の糧を得るために多くの嘘をつき仲間を、女性を裏切り騙し続け、その度に資産を手に入れるという詐欺行為を数十年繰り返していた。
ーエリザベス(ベティー)はロイとの出会いのきっかけを仕組み、あたかもベティーの資産をロイに詐欺出来る様に仕組んだ。年老いたロイは短気で物忘れもひどく、挙げ句の果てに病気がちだったが、最後の最後まで詐欺師として計画実行した。だが最後にそれはベティーの仕返しと解った。ロイは生涯、人を騙すという行動がやりがいであり、ベティーからの仕返しは後悔もなかったが、死ぬ直前まで嘘をついたことで病床でうなされ続け亡くなる。
ー文中で見つけた言葉
「気をつけろ、人生はリハーサルじゃないんだ。欲しいものがあるのなら、体当たりで手に入れろ」
「あなたが非常に不幸な人だという事です。惨めな老いぼれだという事ですよ。間違いなく」
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