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「自由」であるが故の転職の難しさ『漂砂のうたう』

2021-08-01 07:55:14 | 歴史から学ぶ
「自由」な世界の職、時代と共に消え去る「職」は、この明治初期と現代でも変わらない。現代ではIT(情報技術)が普及し今までの職がITによって置き換えられ、職が消え、職を失う、その現象が継続することは間違いない「転職」、どこでどの様に見極め、自分の「天職」と言われるものを手にするかがこれからの時代だ。考えることより「行動」を是非ともお勧めしたい、それも35歳以下であれば。職種、職業(会社そのもの)が失くなる前に自分が思う「天職」を見つけ出すのはそのタイミングだ。時代は思った以上に早いことを忘れないで行動することが大切だ。
『漂砂のうたう』木内昇
ー時は明治初期、薩長土肥の新政府ができ、武家社会が崩壊。それに伴って武士の階級含め士農工商が崩れ始めた時代に行きた一人の元武士の「自由」にまつわる話。
ー師範の武家に生まれた定九郎、武士の身分を失い根津遊郭の客引きとなる。来る日も来る日も希望が見えず、出世も望まず、いつか別天地で天職をと夢見ていた。
ーその遊郭にも時代の流れから「貸座敷」と改めることになる、でその定九郎が勤める人気の花魁が年季も切れることもあり、一世風靡な道中を計画するといわれた。それは「紙衣」で歩き回ると言う今までにない衣装で後世に残そうと周りも応援する。
ーある日、定九郎はその花魁に声を掛けられ、花魁の話が
    「己の力だけではどうにもならない時がある。どんなに力を振り絞っても、うまくいかない時もある。そう言うときにはね、修行だと思って耐えてみるのが良いってさ」「耐えるだけじゃなく、受け入れちまえあ、こっちの勝ちだって」
    「流石にもう、わちきの前借金も終わる頃だ。年季が明ける前に、一つくらい贅沢したいと思ってね。わちきがここにいたことを覚えていてほしいと思いますのさ。あんた「自由」って新語をどう思うえ。わちきら花魁にとっちゃ、「自由」ってのは路頭に迷うのと同じことさ。生きる場を失くすってことだ。でもね、花魁がカゴの中の鳥なのは、廓に閉じ込められてからじゃあないんだよ。外の世界を信じていないからさ。身の回りにいるほんの一握りの人間しか見ようとしないからさ。それじゃカゴから放たれたところで、自由にはならない」
 定九郎は「ここにいる誰もが、新しくなった世の中に必要とされていないからだ」と。



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