@人は余りにも強烈な場面に遭遇した時、その印象深く残った画面が時代、時空を超えて蘇ってくるもの。そしていつまでもその場面を消そうにも消え去る事なく、何かの衝撃で呼び戻されてしまう。文中の作家の太陽系・惑星から現実世界(森の中)の幻想世界(時間の遠近法)に溶けこみ理解するには無理があると感じた。だが、3.11の津波に攫われ亡くした友が未だ海から還らないままのは悲しい限りだ。
『貝に続く場所にて』石沢麻衣
「概要」コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。
ー3.11 福島大地震・津波で同僚が亡くなる。亡くなった事が信じられない夢と幽霊の妄想に浸る日々を綴った小説。良き研究者の一人が津波で一蹴にして消えて亡くなる。信じられない世界にいつまでも過去の想いが彷徨い、留学でドイツへ行けどもそこでもその同僚(幽霊)に呼びかける様を繰り広げてしまう。教会、美術品、絵画に描かれた人物などからも。
ーコロナ禍での生活でも不自由な生活を余儀なくされ、さもそれがあの思い出の津波で家、家族、友人諸共消え去った日々と重なり、重々しくなる。
ー昔、貝は巡礼者にとって貝殻で示される道、帽子など重宝され、通行手形としても活用されていた。
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