海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

上海のカメラ事情 1995年から現在まで

2019-11-12 | 写真日記

 

カメラが売れないんだよニュースが話題になり、ニコンもキャノンも大幅減収だそうだが、これはある程度先読みできた事。そして、ミラーレスではソニーが断然トップを独走状態なのは、これも数年前から読めた事例。 私も2014年頃からキャノンをすべて売り払いフジのXシリーズへ、その後ソニーのα7Ⅱも一時期使ったが売り払い、今はXシリーズとGFXのフジ一色となりカメラはすべてミラーレスに。もうすでに、私の場合はミラーありのカメラには戻れないし35mmフルサイズへの固執もまったくない。

 

カメラなんて絶対に買わない人種

 

私が初めて上海に取材で訪れたのが1995年の1月だった。その後、作品撮影で上海に通い始めたのが1996年。その頃の上海でのカメラ事情を振り返ってみる。

1995年 とある創刊号で上海を取材。私が持ち込んだ機材は、CanonのEOSシステムで、ズーム3本とEF50mm f1.4とEF300mm f2.8、そしてローライフレックス75mm f3.5だった。当時は当然フィルムなので、コダックのリバーサルフィルム50本持ち込んだ。この頃の上海では、日本製コンパクトカメラでさえ買うのが大変な時代。南京路にあったカメラ屋を覗くとミノルタSRマウントの海鴎や鳳凰などの中国ブランドが店に並んでいて、人集りがしていたが一眼レフを買う人は少なかった。一方、日本製はNikonが一番人気だったが、それを買える人は希だった時代。

1996-2000年は、外国製カメラを持っている人が少しずつ増えてきたが、カメラを持ってスーパーやデパートへ行くと警戒されている事に気づく。当時から2009年くらいまで、上海のテレビ塔(東方明珠)の展望台に行くには、一眼レフカメラは展望台に行く前に預けるのがルールだったので持ち込めなかった。ただ、コンパクトカメラは問題なし。つまり、一眼レフカメラを持っているのは、プロのカメラマンと認識されていたようだ。きっと、街を俯瞰撮影する事は、罷りならんという事なんでしょうね。前世紀は、日本から中古のコンパクトカメラをお土産に毎回持ち込んだが、相当喜ばれた。だいの大人が飛び上がって喜ぶ様は、とても可愛いかった。

2001年頃からCanonの一眼レフが目立つようになり、300mm f2.8はステータスの証だったようで、家が金持ちの息子が人混みの中でカメラを構えている姿を南京路でよく見かけた。この頃から、中国人バイヤーが日本からライカや日本製カメラの中古を仕入れ始めて、右から左へ飛ぶように売れ始めた時代。カメラ屋は、上海駅横のビルの中にあり中古も含め小さな店がせめぎあっていた(今もある)

2004年に上海F1が初開催され、海外からプレスが持ち込むCanon EOS1Dsなどの高価な機材にTAXをかけられそうになり問題になった事があった。2004年頃の地元のプロ達の仕事用機材は、フィルム半分デジタル半分の時代で、デジタルはCanon EOS1DsとPHASEのH-20が主流。この6年間で、日本からライカやハッセルなども含めて美品クラスの中古カメラやレンズが根こそぎ中国に流れていった。それらはカメラマニアが先を争って値段が高い方から売れていった時代。

2011年頃にはプロもアマもデジタルカメラがメインになり、アマチュアも高価なデジカメがバカ売れし始めた時代。と同時にオールドレンズも売れマウントアダプターを使い他社製カメラに取り付けるのが流行る。この頃は、中古カメラ屋も活気があり相当に潤った時代。

2013年頃からフィルム回帰が訪れ、二眼レフと結婚するカメラ女子が増え始めて売れ残っていた中判カメラが少しだけ活気付く。星光カメラ城は新品と中古カメラのデパートのようなものだが、この頃から徐々に客足が遠のきネット販売が増え始めた。そして、現在カメラに限らず物販はネット中心になっている。今、一番活気がないのが中古カメラ屋で、もうこれは相当悲惨な状況と言ってよい。

そして、2018年から不景気風が吹き始め、今年は米中経済摩擦でカメラの周辺機器を製造する会社も大打撃。今、中国でカメラがどのくらい売れているのか知らないが、相当落ち込んでいる事は間違いない。普通に写真を撮るだけなら、一般の人達はスマホで十分。今後、あえてカメラを買う人達は、稀な存在になりつつあるようだ。今まさに始まっている通信規格の5Gがスタンダードになれば、写真より動画がメインになってもおかしくない時代の始まりかもしれない。

2020年がどのような年になるのか、それは来年の1月24日から始まる春節が明けたらわかるだろうね。

コメント
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