今日も、生活保護制度についてなのですが、ちょっと形を変えて、
「香枦園のケアマネ」様からいただいたコメント内容を適宜引用しながら、
いろいろと書いていきたいと思います。
ご指摘いただいている内容について、
同じ趣旨の感想をもたれた方も多いことかと思います。
実際、ご指摘いただいた内容は、私自身が、思い悩んでいることと
重複することも多々あります。
というわけで、お付き合いくださいませ。
なお、文頭に 「 > 」 が付いている文章が、
コメントいただいた文章の引用です。
>受給者に目を向けると、権利といえば権利なのですが、
>平たく言えば若いころ年金も払わず好き勝手に散財してきた人たちが
>老齢になり受給してる人が結構多いです。
確かに、ご指摘されているような例を、見聞きする機会は多々あります。
しかしながら、一方で、受給資格があるにも関わらず、
受給できていない方が、多数存在するというのも事実です。
本来、生活保護制度は、
「より多くの利用者に対して、より質の高い自立を提供すること」
を目的とする制度です。
にも関わらず、制度の対象者の多くが、65歳以上の年齢層に
集中している現実には問題があるのではないでしょうか。
(そうした方々の中に、コメントでの、ご指摘があったような方が、
一定数、存在していると言うのは厳然たる事実でしょう。
ここは、本当に悩ましい問題だと思います。)
一方で、制度の対象者の中心が65歳以上の方々に偏っているということは、
頑張りによって「より質の高い自立」を獲得できる可能性が高い
中・若年層に対して、きわめて敷居の高い制度になってしまっている
ということでもあります。
これは制度の本来の趣旨や、現在の経済状況等を考えたとき、
非常に深刻な問題だと言えます。
例えば、本来の意味で制度を必要としているはずの、
低所得の母子家庭に対して、制度の扉が厳しく閉じられていること。
どうしても就業できない若者がいても、多くの場合、
受給対象にはなりえないこと。
これは、非常に大きな問題ではないでしょうか。
西宮市の話からは外れますが、制度論で言いますと。
生活保護制度の受給対象者の多くは、65歳以上です。
制度の本来の趣旨はさておき、現在の制度が果たしている役割を
考えますと、生活保護制度には、
「現在、働いていないし、年齢的な問題もあって、
今後も継続的に就労することは困難」
な人が、中心的な対象になっているという現状があるということです。
一方で、年金制度は、乱暴に言うなら、
「仕事の一線から引退した方を対象に、一定の収入を担保する」
という制度です。
対象となっている年齢層・制度の本来の目的といった点から捉え直すなら、
年金制度と生活保護制度は重複するようにも感じます。
純粋に、制度の意義だけで考えるなら、二つの制度が、
別々に存在する必要はないのかもしれません。
こうした点もあって、
「年金を税制度にしてしまって、
高齢者の生活保護制度と一元化してしまうべきだ!」
という政策も、一部で提示されているのだと考えています。
この政策提案の是非自体は置くにしても、ほんま、個々の制度だけでない、
社会福祉全体から見た、制度の最適化が必要だと思うのですが。。。
>保護には現金給付以外にいろんな扶助があり、
>医療や介護は当然タダです。
こちらも仰るとおりです。
これに加えて、長年、国民年金の掛け金をまじめに支払ってきた方より、
生活保護制度の対象者のほうが、多くの支給を受けることができる
という事実も、問題とされているところです。
バクッとした話になりますが、西宮市の場合、生活保護を受けると、毎月
・世帯主が12万円
・扶養家族が一人増えるごとに4~5万円増額
となっています。
単純に計算すると、夫婦2人なら16~17万円、
夫婦2人・子供2人の家族なら、月額25万円程度の手当。
ちなみに、国民年金は40年間きちんと払い続けた人で月額6万7千円。
夫婦2人で13万4千円です。
制度自体が、ある意味での「おいしさ」を感じさせるものになっている
面がある、ということは否定できない、と個人的には思います。
>某政令指定都市 福祉事務所CWにどれくらいの頻度で
>訪問しているか尋ねると、年に1回行けるかどうかとのこと・・・
>これでは、不正なんぞ見抜けるわけもないし、単なるバラマキですよね。
こういった、制度の現実の運用面も非常に問題です。
きちんとケースワーカーの人数を増やし、不要な雑務を減らし、
本来必要な業務に専念できる環境を作らねばなりません。
問題は山積みです。
でも、それでも。
私は、現状では、この制度以外にない以上、
生活保護制度を活かした弱者保護こそが、
行政がなさねばならない、最重要取り組みの一つだと考えています。
どんなに効率がよかろうが、行政が携わる必要などない事業があります。
どんなに効率が悪かろうと、やらなければならないこともあります。
その課題に取り組まないのであれば。
それは行政や政治が、自分自身の存在意義を否定していることに
ほかならないと思うのです。
本来、就業可能な中・若年層をも対象に据え、どのようにして
「質の高い自立」を提供していくのか。
この課題に取り組むことが必要だと考えています。