西宮市議会議員 しぶや祐介の活動日記

「子育てするなら西宮」「文教住宅都市・西宮」「住み続けたいまち西宮」の実現を目指す西宮市会議員のブログ。

実質的には大赤字の決算なのに、見た目は黒字なのはなぜ?その理由を、分かりやすく説明します!

2024-08-29 09:20:45 | 市政全般に関連すること

役所の会計って、とにかく実態がつかみにくいんですよね...
こちら、先日の議会運営委員会で示された決算資料。
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これだけ「西宮市の財政がヤバい...」と騒ぎになっている以上、普通の感覚なら「すごい赤字が並んでるのでは...」と思いますよね。
ところが、上の資料の一般会計で「収支」と名の付く欄を見ても
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●「形式収支額」は7億3903万円の黒字
●「実質収支額」は5億2214万円の黒字
●「単年度収支額」は1億2252万円の黒字
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と、どこの欄も黒字。
これだけを見ると、「・・・全然、問題なさそうに見えるけど...」という話になると思うんですよね。
ところが、それが全く違うのですよ。

というのも、自治体会計では
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●借金して、得たお金も収入!
●前年から繰り越したお金も収入!!
●基金を取り崩したお金も収入!!!
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みたいな形になっているんですよね(←上にあげた収支それぞれによって、異なる部分があります)。
なので、先日のブログで書いたような「単年度収支は1.2憶円の黒字ですが、これは貯金にあたる基金を41億円取り崩した上での話なので、実質的には大赤字」みたいな、よく分からないことになる…と。
 ↓
【ご参照】
窓口を閉める時間が早くなるなら、勤務シフトも見直すべきでしょ?なんで、こういう見直しをしないんですかね。。。@先日のブログ

現状、西宮市の財政において、最も分かりやすく問題なのは、基金の大幅な取崩が常態化した結果、遠くない将来に基金が底をつき、予算が組めない状態に陥りかねないということ。
そういう意味で、西宮市の財政状況を見るために一番、分かりやすいのは、基金の積立や取崩も加味した数値である「実質単年度収支」だと考えています。
上の表には出てないんですけどね。
なお、上にあげた収支それぞれの違いについて知りたい!という方には、以下の内容が分かりやすいと思いますので、よろしければ、どうぞ。
 ↓
「形式収支」「実質収支」ってなに?-わかるお役所用語解説5 - お役所のことばがわかるブログ

で、この実質単年度収支で見ると、石井市長就任後の決算は
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●平成30年度 4億9521万円の赤字
●令和元年度 50億5101万円の赤字
●令和2年度 44億3924万円の黒字
●令和3年度 28億3193万円の黒字
●令和4年度 42億8950万円の赤字
●令和5年度 37億6922万円の赤字
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と6年中4年が赤字。
黒字になった2年についても、
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●令和2年度は、市関連公社への貸付金55億円が返還された
●令和3年度は、コロナの影響等もあり、国からの交付税等が大幅に増加された
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等の特殊かつ一時的な要因があってのこと。
こうした要因がなければ、6年間ずっと大幅な赤字になってたわけで、まあ酷い実績ですね…
なお市の財政状況が、平成30年度以降、恒常的な赤字基調にあることは、市が示した資料でも明確に認められています。
 ↓
【ご参照】
厳しい財政状況について述べた、市長の定例記者会見を視聴しました。と言うわけで、私見をば。@2023年10月のブログ

で、不思議なのは「そんなん、前から分かりきっていたことやんけ…」という話なんですよね。
実際、令和元年度決算の実質単年度収支が50億円を超える赤字であると明らかになったとき、財政を中心とした各部局において、かなりの緊張感が走ったことは強く印象に残っています。
こうした事実も踏まえて、私は一貫して、財政状況は、きわめて厳しく普段の改革が必要という趣旨からの問題提議・主張・指摘等を行ってきました。
例えば、大幅な黒字を計上した令和2年度・3年度の決算状況を報告した市政報告の内容は、こんな感じです。
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市政報告67号@2021年11月発行


市政報告71号@2022年10月発行


ところが、市の反応は、甚だ鈍かったんですよね。
実際、市長は、赤字基調が明らかになっている2022年3月の市長選挙に、巨額の資金を必要とする18歳以下の医療費無償を掲げて、臨みました。
そのことについて、私は財政危機が明らかになる前のブログで、
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現職として選挙に臨んだ、市政の現状をよくよく知るはずの市長が公約として掲げたんですもの。
当然のこととして、早期に実現されるべきものだと考えています。
多額の費用が必要となることはよくよく分かったうえで、公約として掲げたはずですしね。
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と書いています。
で、その後、今に至るも、財政難を原因になのか、実現される気配は全くない。
なんとも、酷い話だと思っています。
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【ご参照】
全国的に、ますます進む子供の医療費無償化。市長公約ですもの、西宮市も先に進めるんですよね??? @2023年9月のブログ

昨年度の決算審査過程における、私の質疑によって、財政の危機的状況が明らかになった後、市は慌てふためいて、今後の対策を示し始めました。
が、私は、昨年に行った私からの指摘がなければ、今でも市は呑気に過ごしているのではないかとさえ思っています。
 ↓
【ご参照】
「最悪の場合、令和7年度に予算を組めなくなるかもしれない」ってどーゆーこと???そんなん、すぐじゃないですか。。。@2023年9月のブログ

でも財政危機を踏まえて、示された計画でも、
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●人事院勧告に伴う、人件費の大幅な増加
●病院の県市統合に伴って発生する退職金や、現給補償に伴う大規模な人件費の発生
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が見込まれていないなど、その内容は甚だ不十分。
こうした問題についても今日から始まる9月議会では、しっかり追いかけていかねばならないと思っています。

このままでは今後一層、厳しい状況に陥っていく可能性が、きわめて高いと思えてなりません。
そうならないよう、私なりに力を尽くしていきたいと思っています。
それでは今日のブログは、これにて失礼いたします。


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2 コメント

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企業会計と地公体 (壺屋一丁目)
2024-08-29 13:22:29
広報誌の決算報告は簡略過ぎで、HPの決算資料は一つ一つの経理科目まで添付しているようで、市民が容把握するのが非常にわかりにくくなっています。
貸付金の回収や基金からの入金は、資産の減少・現金の増加ととらえ、収支とは無関係なのは市職員も知っているはずです。多額の臨時収入・費用は経常収支に算入しないのは、簿記の授業や大学の経済経営学部ではこの知識は当たり前。また、市職員には金融機関からの転職者もいるでしょうから。
地公体が金銭出納帳のような決算書を出すのは現制度上しかたないにしても、それを口実に「黒字」と言い張るのは、市民と自分自身を誤魔化しているように思えます。
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コメント頂き、ありがとうございます。 (しぶや祐介)
2024-08-30 10:29:52
>壺屋一丁目様

とりわけ、基金の取り崩しが常態化している西宮市のような状況にあると、自治体会計の制度上の問題点が浮き彫りになってくると感じますよね。
私としましては、そうした状況の中でも、きちんと問題点を把握し、追及し、是正していきたいと考えています。

貴重なご意見を頂戴したことに感謝申し上げます。
コメント頂き、ありがとうございました。
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