翁長知事「あらゆる手法使い戦う」 辺野古埋め立て開始
昨日のこちらの新聞には、次のような論説、社説が出ていた。
辺野古埋め立て着手 「抑止力」よりリスク拡大
(2017年4月26日午前7時30分)
【論説】沖縄は5月15日、本土復帰から45年を迎える。美しい海が広がる一層平和な島になっただろうか。返還時は在日米軍専用施設の53%が沖縄にあったが、現在は74%に上る。本土の基地縮小が進んでいるためだ。
政府は米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸部で護岸工事に着手した。普天間は返還されても美(ちゅ)ら海が新たな「軍事要塞(ようさい)」になる。本土の盾となるべく沖縄をこれ以上犠牲にすべきではない。
工事規模は約160ヘクタール。石材を海中に投入し土砂で埋め立てる計画だ。全体工期は約10年という。これで原状復帰は困難となり、絶滅危惧種ジュゴンが生息する海域の自然が損なわれていく。まさに重大局面だ。
政府は2014年、辺野古移設を受け入れた仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事に岩礁破砕許可を申請、今年3月までの期限だった。翁長雄志(おながたけし)知事が更新に応じないとみて、現場水域の漁業権放棄を地元漁協に水面下で働き掛け同意を取ったのだ。
こうした強権を駆使した政府の計画に、基地負担軽減を訴える翁長知事は「オール沖縄」で反対運動を続けている。知事は「工事強行は許しがたい、暴挙だ」と批判し、工事差し止め訴訟を起こすと明言した。
ただ県の立場は厳しい。15年10月、知事が埋め立て承認を取り消した。政府と県の訴訟で一度和解が成立したが、政府は知事を再提訴。最高裁は昨年12月、移設の適否には踏み込まず、承認取り消しを違法と判断し県側敗訴が確定した。
しかも宮古島、浦添、うるまと続いた市長選で知事が推した候補が3連敗するなど「オール沖縄」に陰りも見え「基地より経済」の流れが出始めている。
復帰45年を前に、地元の沖縄タイムスなどが実施した県民意識調査では、新基地反対が61%を占め、賛成の23%を大きく上回った。翁長知事支持も6割近い。沖縄の民意は依然、米軍基地反対が大勢を占めるのは事実である。
これに対し「辺野古移設が唯一の解決策」とする安倍政権の姿勢は「沖縄に寄り添う」政策には程遠い。菅義偉官房長官は護岸工事着手に「懸念材料は全くない」と述べ、稲田朋美防衛相は「多くの人が望んできた普天間飛行場の全面返還を実現する着実な一歩」とコメントした。あまりに一面的で県民感情への配慮を欠いた論理ではないか。
県側は「移設先が辺野古である必要性は乏しく、沖縄の基地負担の固定化につながる」と訴えている。移設は沖縄の過重負担軽減にはならないからだ。
そもそも、普天間返還計画は米兵による少女暴行事件がきっかけではなかったか。新型輸送機オスプレイの事故リスクも高まる。過度の米軍基地集中は北朝鮮による弾道ミサイル攻撃の目標にさえなっている。
日米軍事専門家も沖縄の地理的優位性に疑問を投げかけ、代替案の検討を提案している。政府の「抑止力」論は既に説得力が薄れている。なぜもっと沖縄に向き合わないのか。
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この記事の内に述べられている「最高裁は昨年12月、移設の適否には踏み込まず、承認取り消しを違法と判断し県側敗訴が確定した。」とあるように、「承認取り消しを違法」とだけ判断しており、そこには憲法において政府が国民や地方自治体を告訴していていいものかという判断が示されておらず、さらに移設適否ということからは目をそらしている。
この移設適否から目をそらしているそこには、中立性を持って判断しようという姿勢が欠けており、政権よりな判決状態になっている。
もっともそれというのも、裁判官の任命者は政府にあるから、おのずと及び腰になっていて、裁判所自らが憲法違反していても何とも思っていない。