中国調査船 首相抗議せねば禍根残す
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100507/plc1005070254003-n1.htm
奄美大島沖の東シナ海で活動中の海上保安庁の測量船「昭洋」が中国の海洋調査船から作業中止を要求され、4時間近く追跡されるという異様な事態が起きた。
昭洋の活動場所は日中間の排他的経済水域(EEZ)中間線から約40キロ入った日本側海域だった。にもかかわらず、中国の「海監51」は1キロ弱まで近づき、「この海域では中国の規制が適用される」と主張した。
中国側は日中中間線を認めておらず、大陸棚は中国大陸から沖縄本島近くの沖縄トラフまで延びていると主張し、そこまでが自国のEEZだとしている。昭洋は「日本の大陸棚で、国際的に正当な調査だ」と答えたが、調査継続に支障が出たため海域を離れた。
これまでは日本側のEEZで中国調査船が違法な調査活動を行い、海保の巡視船が中止を要請してきた。今回はあべこべの事態で、正当な日本の活動が中国の妨害行為により中止を余儀なくされた。重大な権益の侵害であり、あってはならないことだ。
このような前例はなく、岡田克也外相は「極めて遺憾だ」と不快感を示し、程永華駐日大使に厳重抗議した。しかし問題は、再発が防げるかどうかである。
案の定、中国外務省の姜瑜報道官は「活動は完全に正当で合法だ」と中国側の行動を正当化した。有効な抗議の手段を講じなければ、日本は「中国の海」となってしまうのを傍観する立場に追い込まれよう。
駐中国大使を召還する必要はないのか。国際司法裁判所への提訴で、中国の権益侵害の問題を取り上げる方法もあろう。調査活動の安全確保のため、自衛隊の活用も視野に入れる必要がある。もてる手段を再検討すべきだ。
事態を放置しておくと、中国側はさらに既成事実を積み重ねてこよう。海軍力を背景に、都合の良い解釈を力で押しつけてきているのが現実である。
鳩山由紀夫首相と胡錦濤主席は昨年9月の初会談で、東シナ海を「友愛の海にしたい」「平和友好協力の海にしたい」との考え方で合意した。だが、中国側は日本が断固たる対抗措置をとれないと見切っているのだ。
首相はこうした事実から目を背けず、直接抗議しなければならない。国際社会の中で毅然(きぜん)とした対応をとらなければ、大きな禍根を残すことになる。
「中国艦船に慣れよ」 海保船追跡で元人民解放軍幹部
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100506/chn1005062336007-n1.htm
奄美大島沖で3日、海上保安庁の測量船を中国の海洋調査船が追跡した問題で、6日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国の周辺諸国は、中国の艦船がアジアの海域に存在している状態に慣れるべきだ」との人民解放軍の元少将、徐光裕氏の発言を伝えた。
徐氏は「中国(の艦船)が、これまで自国の海を守らなかったことの方が異常だった。今は普通のことをやっている」と強調。「他国を侵略したりはせず、国益を守っているだけだ」と追跡への批判に反論した。
徐氏は軍事関連の有識者として、内外メディアでの発言が多い。海上保安庁によると、現場は奄美大島の北西沖約320キロで、日本が日中間の排他的経済水域(EEZ)の境界線と位置付ける「日中中間線」付近の日本側。(共同)
2010.5.6 23:36
「追跡」の表現は不適当 日本政府の抗議に中国国家海洋局
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100506/chn1005061934001-n1.htm
中国の国家海洋局で東シナ海を管轄する海監総隊の当局者は、海上保安庁の測量船が中国の海洋調査船に追跡されたと日本政府が中国政府に抗議したことについて「追跡されたとの言い方は成立しない。われわれはわが国が主張する管轄海域で巡視任務を行った」と述べ、抗議は不当との認識を示した。国営新華社通信(電子版)が6日、伝えた。
当局者は、日中間の排他的経済水域(EEZ)の境界線となる「日中中間線」について、日本側が一方的に決めただけで中国は認めていないと強調。日本側が「海洋調査船」と呼んでいるのは法務を担う海監総隊の巡視船で、中国の全海域を守り、巡視する職務があるとも述べた。(共同)
2010.5.6 19:33