二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

健康は養生(予防)から!!

2010年01月06日 | 養生(予防)
今年(寅年)は、どんな年になるのでしょうか私たちの心の感じ方次第でしょうかね。

一年一日、「今」を楽しく、元気に、充実して生活するためには心身の健康が大切です。健康を保ち、死ぬ瞬間まで元気に動いていたいものです。また、日々の生活においても不安になったり、心配したり、怒ったり、腹を立てたり、マイナス感情をできる限り少なくしていきたいものです。心と体をどうすれば健康に保ち、豊かな人生を送ることができるか…人生の課題の一つでもあると思います。

ここで、江戸時代の人としては長生き(84歳であの世に旅立たれた)をされ、日々養生法を実践された貝原益軒という人物の言葉を紹介します。お亡くなりになる1年前に完成した『養生訓』の冒頭の言葉を書いておきます。

≪「人間の尊厳性」
人の身体は父母を本(もと)とし、天地を初めとしてなったものであって、天地・父母の恵みを受けて生まれ育った身体であるから、それは私自身のもののようであるが、しかし、私のみによって存在するものではない。つまり天地の賜物であり、父母の残して下さった身体であるから、慎んで大切にして天寿を保つように心がけなければならない。

これが天地・父母に仕える孝の本である。身体を失っては仕えようもないのである。自分の身体に備わっているものは、それがわずかな皮膚や毛髪でさえも父母から受けたものであるから、理由もなく傷つけるのは不孝である。まして大いなる生命を私ひとりの「いのち」と思って、慎まず、飲食、色欲を思いのままにし、元気を損ない病となり、もって生まれた天命をちぢめて、早世することはまことに天地・父母への不孝であって、馬鹿げたことであると言わなければならない。

人としてこの世に生まれて来たからには、ひたすら父母・天地に孝を尽くし、人倫の道を実践し、義にしたがい、なるべくならば幸福になり、長寿にして悦び楽しむことは、誰もが願望することであろう。このようになりたいと欲するならば、まず、今のべた道を思考し、それを踏まえて、養生の方法を心得て健康を保つことである。これこそが人生で最も大切なことであろう。人の身体はきわめて貴重であって、全世界の何ものにもかえることのできないものではないか。

しかるに養生の方法を知らないで、欲にふけり身をほろぼし命を失うことは、もっとも愚かなことでもある。生命と私欲との軽重をよく考えて、日々の生活を慎み、私欲の危険性を恐れること、深淵にのぞむような、薄氷をふむような細心の注意を払って生活すれば、長生きも出来て、災難もまぬがれるだろう。

ともかく人生は、楽しむべきである。短命では全世界の富を得たところで仕方のないことだ。財産を山のように増やしても何の役にも立たない。それゆえに、道にしたがって身体を保って長生きするほど大いなる幸せはない。そこで『尚書』では長寿を五福の第一にしている。長生きは、すべての幸福の根本と言われるのである。≫

『貝原益軒 養生訓 全現代語訳』 貝原益軒 著  伊藤友信 訳


※『尚書』というのは、四書五経のひとつである『書経』のことです。書経は、中国の瞬・夏・周王朝の王者、および、それを補佐した人の言辞の記録で、五十八編から構成されています。
※五福とは、一に長生き、二に財と地位、三に健康と平安、四に陰徳を積む、五に善終(臨終の時に心残りがないこと)です。

健康で長生きすることこそ、人生においての課題であり、そして、それが幸福の第一歩だということですね現代社会においてはこれが一番難しいのかもしれませんが、心身が健康でなければ人生の目的を達成することもできませんし、心からの笑顔で日々を過ごすこともできません。

そのためには、貝原益軒さんも言っておられるように、生活習慣を整えることが健康な心身をつくる第一歩だということであり、ここが一番重要な点でもあるのです。睡眠、食事、運動、呼吸、排便、心の在り方、など人間が生活する営むにおいて基本的なものを見直し、正しく実践することが大切です。

それでも体調が悪くなったり、どうしても忙しくて時間に追われ、結果、様々な症状が現れた場合に医療による処置を受けることが必要となります。そこの第一段階としては、まず鍼灸治療など、身体の中でバランスを失っている自然修復・治癒の力(機能)を活性化させる方法を選択することが本来の健康を取り戻すには大切だと思います。それでも症状がとれない、あるいは、まずは医学的処置をしなければいけない緊急の場合は病院へかかることが望ましいのではないでしょうか。

心身を本来の健康な状態に戻すのは、自分の体の中に眠る力なのです。それをサポートするのが医療なのだと思います。手術が必要であればすべきですが、その後、身体を健康な状態に戻すの体の中の力です。鍼灸治療もしかり。ツボに適切な刺激を与えることによって、体の中の力を活性化、賦活してあげるのです。ましてや、外から強力に与える刺激に関しては気をつけなければいけません。
日本人ほど薬を服用している民族はいません。厳しく言えば自己の体の中に眠る力を放棄してしまっているとも言えます。薬を飲んでいるから糖尿病や高血圧が治るのではなく、心筋梗塞や脳溢血、ガンなどにならないなんて考えは、自分の力を放棄してしまっていると言ってもいいでしょう。しかし、時と場合によっては薬もたいへん重要な場合もあります。全てを否定するわけではありません。自分の健康はまず自分の生活習慣からです。そして体の中の自然治癒力を活発にさせること、そして、最後に手術や薬など不要なものを取ってしまったり、過剰なものを抑えつけることも一時的は必要になっていくのだと思います。

健康は自分自身に責任があります

自分の健康を実現するのは自分自身であり、自分自身が主役なのです。医師が主役でも、鍼灸師が主役でもありません。自分の体の声をきき、心の訴えに耳をすまし、東洋・西洋両医学を適宜、必要に応じて自分自身の責任で利用していくことが理想でしょうね。

テレビで報道されていたり、雑誌・新聞に書かれている健康情報には、???というようなものが多くみられます。真実の情報を得ることはなかなか難しい世の中となっています。どこからの情報で、どんな情報を取り入れ、どう自分で実践していくか…これも自分自身の責任にかかっています。自分の身体をつくる主役は自分なのですから

人間の身体の中は神秘的であり、無限の可能性があり、自分の心しだいでいかようにもコントロールすることができます。天地・父母から頂いた身体を大切にして、今年も健康で、楽しく、笑顔で、豊かに一日を過ごしていきましょう。 

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント (4)
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