二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

不妊症と鍼灸治療 2 - ①

2010年09月14日 | 不妊症
不妊症では卵管狭窄など器質的異常がみられる場合は、その処置を行い妊娠しづらい原因を取り去ってあげれば妊娠の確率は高くなるのですが、比較的多くの場合が機能性不妊症という状態であり、原因が特定できません。
そのような方々は西洋医学的不妊治療だけではなく(専門医での不妊治療を受けながら)、ホルモンバランスや体温調節、血流改善など、卵巣や子宮の機能を高め、良質の卵子や、機能的で血液の豊富な子宮内膜をつくるため体質改善を行っていくことも必要かと思います。

その一つの治療方法が鍼灸治療です

さて、鍼灸の不妊治療に関する研究では、鍼灸刺激が子宮血流を改善することが分かっていますし、生体調整機構制御学会での参加報告のように、鍼灸刺激には抗酸化作用があり、脳報酬系など、セロトニン神経系を刺激し満足感を得たり、脳機能の調節にも働いていることが分かってきています。その他、多くの研究があるのですが、

簡単に言ってしまえば(ちょっと強引か)、低いものは高く、高いものは低く、身体の恒常性を維持する作用が鍼灸刺激にはあるということです。陰陽のバランスを整えるということですね。

不妊症に関して言えば、タイミング療法や人工授精など一般不妊治療と、体外受精や顕微授精など高度生殖医療とに大きく分けて考えると、自然に近いか、そうでないかで鍼灸治療の影響する度合いが違うと感じます。身体の状況や、環境など個人差が非常に大きく、これに鍼灸が効く!という確定的なところがないというところで、術者である私としても試行錯誤するわけです。

現代医学での不妊治療でも、年齢や治療方法、各専門病院など様々な要因が絡み、妊娠率というのは違いますが、おおまかに言うと不妊治療を受けた方の3割~4割が妊娠に至るわけです。
鍼灸治療では、できれば自然妊娠できるように体質改善を行うのがベストですが、鍼灸治療も全ての人が妊娠できるかと言うとそうとも言えません。妊娠の確率をあげることはできます。また、妊娠、出産をご希望されるご夫婦の「やれることは何でもやっておきたい」という願いに沿う、安全で、効果的な治療の一つであると感じております。

当院で不妊症の鍼灸治療は、成長期のスポーツ障害、ガンの体調管理の治療と並んで、積極的に行わせて頂いている治療の一つです。

とは言っても、そう症例数が格段に多いわけではございません。現在、12名の方が不妊治療に通院されております。

今年は、9月現在まで、6月にお二人、7月にお一人が妊娠されました

ここが難しいところなのですが、では、鍼灸治療だけで妊娠できたかというと、3名ともに高度生殖医療(体外受精-胚移植、顕微授精)を受けているわけですから、鍼灸治療は少しでも確率を高めるための援護という考え方になります。

しかし、この高度生殖医療ですが、女性周期をホルモン剤や排卵誘発剤でコントロールするわけですから、本来の自然な体としては負担がかかっているわけです。薬の副作用もそうですが、現代医学的不妊治療が長期にわたると様々な症状(不定愁訴など)が出現し、心身ともに疲労してくるわけです。その諸症状の軽減にも鍼灸治療はいいのですね

6月、7月に妊娠された方のことを…これはパート②でお話いたします 

二葉鍼灸療院 田中良和
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