足元の岩の間にしきりと顔を出してくれる小さな白い花の一叢です。花は五弁ですが、深い切れ込みがあるので花びらが10枚あるように見えます。名前は後でしらべて、高山の岩礫に咲く多年草のイワツメクサと分かりました。足元ばかり見つめて歩くのですっかりおなじみになりました。
風雪にさらされて、白い骨のように研ぎ澄まされているシラビソの木が目の前にときおり現れます。一歩一歩高度が増しているのが周りの景色でも感じ取れます。ただしせっかくの景色なのですが、気持ちの余裕がなくチラッと横目で見るのがやっとの状態でした。
傾斜が急なだけでなくこれまでの道と違って指標もない大きな石がごろごろしているだけのところを自分の判断で歩を進めてゆかなけらばなりません。次の一歩をどこに置くのか考えながら登るのはとても大変なことと思い知らされました。