読書日和

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エリザベト音楽大学 Autumn Concert

2018-10-25 21:29:16 | コンサート、演奏会
10月21日、広島県広島市のエリザベト音楽大学のザビエルホールで行われた「Autumn Concert」を聴きに行きました。
Autumnは秋のことです。
エリザベト音楽大学で主科、副科で作曲を専攻している有志の学生7人の作品を披露するというコンサートで、学生オリジナルの曲を聴かせて頂きました
それぞれの曲に書いた一言感想は曲の予備知識なしで聴いた時に持った印象です。


-------------------- エリザベト音楽大学 Autumn Concert --------------------



「MEMORIES」
テナーサクソフォン(サックス)が三年生の桐本萌絵さん、ピアノと作曲が四年生の有留純さん。
この曲は過去に過ごしてきた日々(想い出)をテーマにしています。
ゆったりとした曲でピアノは力強い印象を持ちました。
このコンサートは一曲ごとの楽器の数が少な目なのでフルオーケストラの音楽を聴く時よりもそれぞれの楽器の音が分かりやすいです。




「Past and Present ~過去と現在~」
フルートが大学院一年生の善村早紀さん、ピアノが大学院一年生の山下雄士さん、作曲が有留純さん。
写真のように曲によってはピアノ演奏者の横に楽譜をめくる人が控えます。
この曲は愛する人や国を守るために命を落としていった兵士や、戦後次世代のために生きた者達の未来に対する「想い」、そして今の私達は先人達の目からはどう映るのかの二つをテーマにしています。
暗く、悲しく、物寂しい印象を持ちました。




「秋の散歩道」
アルトサクソフォンが四年生の進正裕さん、ピアノと作曲が四年生の廣川由香子さん。
今回私が注目していたのが廣川由香子さんで、この方は10月27日にエリザベト音楽大学で行われる第77回定期演奏会でピアノの演奏をされます。
エリザベト音楽大学交響楽団によるフルオーケストラで演奏し海外からヴァイオリン奏者も招くかなり本格的なコンサートで、そこでピアノ奏者を務められるのは実力があるからだと思います。



演奏のプログラムや作曲家プロフィール、曲目解説などが書かれた冊子の中で廣川由香子さんは「秋の散歩道」について次のように書いていました。

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1楽章
この曲は雨をイメージして作った曲です。
私は昔雨の日が好きではなかったのですが、最近雨の音を聴くことや、雨の中の景色を見ることが好きになってきたので、雨の日の道を歩くワクワクした気持ちを表現しています。

2楽章
この曲は静かな夜をイメージした曲です。
ゆっくりと静かに曲が始まり、次第に旋律が動いて最後には急激に盛り上がり、曲が終わります。
最後のピアノの音は星のきらめきを表現しています。

3楽章
この曲は休日の晴れた朝のさわやかな始まりをイメージした曲です。
休日の朝、散歩をしながらこれから何をしようかなあと楽しく想像する様子を描いた曲です。
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私はこれを見て文章に好印象を持ちました。
曲目解説では武装した攻撃力の高い文章が目立っていた中で特に武装せずに自然体で曲について思いを書いているのが良いと思いました。
この自然体の雰囲気がそのまま演奏した曲にも表れていました。
1楽章はスキップするように軽く、2楽章はゆったりで、3楽章はやや力強い印象を持ちました。



演奏を聴いて第77回定期演奏会での演奏も聴いてみたくなり、チケットを買いました。
どんな演奏を見せてくれるのか楽しみです




「BLOOMING Ⅱ」
ヴァイオリンが三年生の浦川莉緒さん、ピアノと作曲が山下雄士さん。
「BLOOMING Ⅱ」はこの作品のタイトルではなく「BLOOMING」というプロジェクトで作った二曲目の作品で、即興性やエンターテインメント性に重きを置いているとのことです。
悲しさの中に迫力がありドラマチックさも感じる曲でした。






「低徊」
トランペットが二年生の清水佑一さん、ピアノが三年生の野村周平さん、作曲が二年生の清水日向さん。
一人の人間が進むべき場所を決めかねて惑いながら人生を歩む様子から着想を得て作曲されています。
荒野に立つ人が思い浮かぶような曲でした。




「秋景」
トロンボーンが一年生の村垣想人さん、ピアノが三年生の加々見祐典さん、作曲が三年生の西原拓海さん。
この曲では秋の侘しさと豊かさを表現しています。
とてもゆっくりどっしりとした印象を持ちました。




「残された教会」
ヴァイオリン(左)が二年生の手嶋祐里乃さん、ヴィオラ(中央)が三年生の串山夏菜さん、チェロ(右)が豊原薫さん。
この三楽器は三つともヴァイオリン属の楽器で、一番小さいヴァイオリンが一番音が高く、楽器が大きくなるにつれて音域が低くなっていきます。
この曲は戦時中ある街が爆撃を受け、奇跡的に被害を受けなかった教会と残された人々をテーマにした曲です。



悲しい曲で、終盤に盛り上がりがありました。
この曲の後15分の休憩になりました。




ザビエルホールはこのようなホールで、普段は学生達の演奏実技で使われているようです。
写真は開演前に撮りました。



写真中央やや下のドアから曲ごとに演奏者達が登場します。




「PO-33を用いたインプロビゼーション」
PO-33と作曲の西原拓海さん(写真一番右)。
PO-33はTeenage Engineering社のポケットミュージックシーケンサーで、演奏データを記録し再生することで自動演奏することができる装置です。
五人の協力を得て、この装置を使って楽器の音や日常の音などを録音して音楽をステージ上で作る実演をします。




トロンボーンの音の録音。




ヴァイオリンの音の録音。




手で叩く太鼓のような楽器の録音。
太鼓を叩いているのは川上統専任講師(作曲)です。




「パン!」という手拍子の録音。
一回目に「よーーおっ」の掛け声が入っていたためにやり直していたのが面白かったです。

ステージ上ではトラブルがあり、装置が上手く動かずに苦戦していて心配になりました。
しかし無事に録音した音を元に音楽を作れていたので良かったです。




「Dolly's Dream」
フルートが一年生の福田侑季乃さん、ヴァイオリンが浦川莉緒さん、ピアノと作曲が山下雄士さん。
12月21日、22日にJMSアステールプラザで行われる演劇作品「タカラジマ、マジ、タカラ」のトレーラー(宣伝用音楽)として作曲した作品です。
明るさの中に寂しさもある印象を持ちました。




「葉見ず 花見ず」
ヴァイオリンが串山夏菜さん、チェロが趙思嵐さん、ピアノが二年生の児玉梨緒さん、作曲が二年生の長谷川丈瑠さん。
「葉見ず 花見ず」とは彼岸花の別名で、花のある時期に葉がなく、葉のある時期に花がないという特徴に由来すると曲目解説に書いてあり、これは今まで意識したことがなかったので興味深かったです。
遥かな空、雄大な海が思い浮かぶ曲でした。






「組曲「世界」より」
〈Opening〉 〈Main field〉 〈Fashionable street〉 〈Mystery〉 〈Archenemy〉 〈The sea〉
ピアノと作曲の一年生の金森陽大さん。
組曲「世界」はある物語を表し、幻想的な雰囲気を目指したとのことです。
静かな音楽、明るい音楽、ひんやりとした音楽、速い音楽、ゆっくりな音楽、爽やかな音楽、不穏な音楽など様々な音楽がありました。




「映画:α」
ピアノが加々見祐典さん、作曲が西原拓海さん。
この曲は映画をイメージして作っていて、西原拓海さんが今まで鑑賞してきた映画のシーンを集めて音楽にしたとのことです。
同じ音を早いリズムで刻んでいたのと途中で穏やかな音楽になったのが印象的でした。




「STAINED GLASS ~彩色が施された結晶物を透過する光は多様性を持ち影を形成する~」
ピアノと作曲の山下雄士さん。
ステンドグラスの変容する光と影、時折見せる洗練された輝きを表現したとのことです。
ダイナミックな音楽でピアノを強く弾いていて、後半では不穏な音楽になっていました。


学生達の音楽、楽しく聴かせて頂きました。
作曲した人にとって自身の曲が演奏されるのは嬉しいと思います。
また演奏する人にとっても聴きに来た人達の前で演奏するのは胸が高鳴ると思います。
それぞれの人達にとって音楽家として貴重な経験になって良かったのではと思います


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