里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ユキノシタ 岩壁に着生

2019-03-13 | 日記
登米市東和町米谷地区南部、沢に沿った集落道を上がって行くと、両岸から岩山が迫って
峡谷のようになった箇所があり、その上手に小さな滝がかかっています。
斜面を下って滝の直下に降りると、あたりの岩壁にたくさんのユキノシタが着生しています。
ただ、ずいぶん小さいものが多いですね。岩壁に着生したコケに生えているため、十分な栄養
が得られないものと思われます。

沢を少し下ると杉林になり、その林床では標準的な大きさで生えていました。
一帯が湿気の多い谷底ですから、斜面下部や近くの林道路肩などにも群生していました。




                              二枚とも2019.3.6撮影

ユキノシタはよく知られた薬草ですが、漢方での利用はないようです。
古くから民間薬として中耳炎や皮膚病などに用いられてきました。
生葉の絞り汁を中耳炎に用い、あぶった葉をやけど、しもやけ、腫れもの、虫刺されなどの
患部に貼ったようです。薬効成分はポリフェノールの一種であるベルゲニンやフラボノイドで、
強い抗菌作用があるようです。
またアルブチンという成分には美白やシミ予防の効果があるといわれ、これを配合した化粧品
も生まれているとか。


                                  2019.3.6撮影

ユキノシタ科ユキノシタ属の常緑多年草で、本州~九州に分布するが、帰化植物説もある。
沢沿いの岩場など、湿り気の多い半日陰に自生する。草丈は20~50cm。
長い走出枝を伸ばし、先端に芽をつけて増える。葉は根生し、葉柄は長さ3~10cm、葉身は
腎円形で長さ1.5~7.5cm、両面に毛が密生する。葉裏は暗紫色。
葉縁には浅い鋸歯がある。葉質は厚いがやわらかい。
花期は5~6月で、 花茎は長く、分枝して枝先に花をつける。花柄や萼には腺毛が密生する。
萼片は5個、長さ1.5~3.5mm、幅1~1.8mm。 花弁は5個、上側の花弁3個は卵形、数個の
紅斑があり、長さ4mmほど。下側の花弁2個は白色、長さ1.5〜2cm。
雄しべ10個、葯は初め紅色。雌しべ2個は子房の基部が合着し、上半分を黄色の花盤が取り巻く。
果実は蒴果で長さ4mmほど、上部は2浅裂する。
種子は広卵形、微細な凸起があり長さ0.5mmほど。


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