里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

サイハイラン 沢沿いの樹陰

2017-06-14 | 日記

福島県新地町の福田地区から、三滝川沿いの県道を西へ上がって行くと、沢沿いの
窪地や小平坦地にサイハイランが咲いていました。
自生地は腐葉土が厚く堆積した湿り気のある樹陰で、あまり踏み込みたくないような
場所ですが、撮影のためですから仕方ありません。

花の盛りは1週間ほど前だったのでしょう。多くの花が傷んでいましたから、いくらか
ましな花だけ撮ってみました。ただ、この地区は花色が好いですね。
ふつうは淡褐色系の花が多いのですが、ここのは淡紅色系の比率が高いので、盛期に
来れば良い写真が撮れたことでしょう。




                            二枚とも2017.6.10撮影

和名は、花茎に下向きに花が付く様を、武将が戦陣で指揮に用いた、采配に似ているとして
名付けられたようです。的を得た命名ですね。

サイハイランは地下に偽球茎があり、これを乾燥させたものを漢方では山滋姑(サンジコ)
と言います。解毒作用、消炎作用、鎮痛作用、止瀉作用などの薬効があるようです。
『本草綱目』には「主に疔腫を治し、毒を攻め皮を破る。諸毒、ヘビによる咬傷、虫による刺傷、
狂犬病を解く」と記されています。


                                2017.6.10撮影

ラン科サイハイラン属の多年草で、北海道〜九州に分布する。
低地~山地のやや薄暗い林内に自生し、湿気を好む。
地下に卵形で白色の偽球茎があり、花後に葉を1枚出して冬を越し、翌年の花期の頃に枯れる。
葉は立ち上がらずに地に伏し、長楕円形で長さ20~40cm、深緑色で縦に3脈がとおっている。
花期は5~6月で、直立した30~40cmの花茎を伸ばし、紅紫色を帯びた黄褐色の花を15~20個
片側に下向きにつける。花色の濃淡などは個体によって変異が大きい。
花の長さは3cmほどで半開にとどまる。
外側に萼片3個、内側に花弁3個がある。下側は唇弁で先端で3裂し、中裂片は大きい。
その上にあるのがずい柱で、先端の黄色い部分が葯(やく)。
果実は長楕円形で長さ2〜2.5cm、先に長いずい柱が残る。
種子は糸状で長さ2mmほど。



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