登米市東和町嵯峨立地区東部、山越えの細い車道を上がって行くと、北側に入って行く林
道があるので、これを上がって行くと一帯に杉林が広がっています。
林内を見るとマツの落葉が散り敷かれていて、見上げるとあちこちにアカマツも混じって
います。そんな林床には獣道らしき細い踏み跡があって、林の奥まで続いています。
二枚とも2020.11.26撮影
獣道を行くと、林床に常緑の何かの葉が生えています。二カ所に群生していて、合わせる
と13~14株あるでしょうか。遠目にはサイハイランの群生かと思ったのですが、この種は
ふつう一葉なので、葉が放射状に展開することはありません。
近くで観察するとサルメンエビネかとも思ったのですが、それよりは葉幅が広く、葉柄部
分が短いようです。前掲の二種でないとすると、エビネの葉でしょうか。
野草図鑑で葉を見比べると、エビネで間違いないようです。
サルメンエビネは葉の全長がもっと長く、前述のように葉柄部分がかなり長いですね。
サルメンエビネは4~5回観察していますが、エビネの自生株は初めて見ました。
エビネの名の由来は、地中の偽球茎が海老に似た形をしていることによるようです。
近年は園芸目的の採取により絶滅が危惧されています。
2020.11.26撮影
ラン科エビネ属の常緑多年草で、本州~九州に分布し、草丈は20~40cm。
丘陵~低山のやや明るい落葉広葉樹林下や竹林、杉植林地の林床などに自生する。
地下に球状の偽球茎が数個横に連なる。
葉は3~5枚が茎を包んで上に伸び、倒卵状惰円形~披針状惰円形で長さ10~25cm。
翌年の春まで倒伏して残り、新しい葉が出ると枯れる。
花期は4~5月、高さ20~40cmの花茎を伸ばして、8~20個の花を総状に付ける。
花の直径は2~3cmで、花色は黒紫色、茶色、緑色など変化に富んでいる。萼片は3個開
出し、萼と同色の側花弁2個は萼片よりも少し細い。唇弁は大きく、3深裂している。
唇弁基部近くは筒状となり、後方は距となっている。
果実は蒴果で、長さ3cmほどの楕円体。中には微細な種子が無数に入っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます