カモシカの子供

栗原市栗駒の鳥沢地区を流れる綱木川の上流部、川と平行する林道を上がって
行くと、林道下に６～７枚の耕作放棄された田畑が広がっている。
漫然と田畑や山林を眺めていたら、視界の隅で何かが動いた。
視線を走らすと、カモシカがこちらを振り向いているではないか。
距離は15～20m、カモシカは逃げないで興味深そうに私を見つめている。
ゆっくりと、ウエストバッグからカメラを取り出しても逃げない。
カメラを構えてもまだ逃げない。
一枚撮影、四倍の望遠ではカモシカが小さい、もう少し近づけるか ?


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2015.4.8撮影

カモシカはまだ子供のようだ。
人間なら小学五年生と言ったところか、体が小さいし顔に幼さが残る。
ゆっくりと林道を移動し、カモシカとの最短距離で何枚か撮ったが、まだ逃げない。
「カモちゃん、良い子だね、カモちゃん・・カモちゃん」と優しく語りかけながら、私が
林道法面を下り始めたら、踵を返して走り出した ? !
あれっ・・様子がおかしい ? !


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2015.4.8撮影

走り方が変だ ? ? 跳ねたいのだろうが、後足を揃えたようにしてドタ・・ドタ・・
ドタ・・ドタ・・と川沿いの藪へ移動して行く。
「ゴメンゴメン、近寄らないから急がないで ! !　ゆっくりで良いから」
言いながら林道に戻り、彼から離れた。
プロのカメラマンなら逃げる姿も撮っただろうが、私にはできなかった。
子供なのに怪我をしていたんだね、近寄ってご免なさい。
脅かして悪かったね、ご免なさいね・・・

カモシカの子は生後一年ほどで、親離れするという。
５月頃に出産するので、今がその時期なのかも知れない。
それで、他のカモシカの縄張りに入って攻撃されたのか、傾斜地で転んだのか ?
いや、たぶん・・足に結束ヒモか、網の切れ端が絡みついているか、それを
外すときに傷を負ったのだろう。