南三陸町戸倉地区の西部、丘陵地の間の農道を上がって行くと耕作地が無くなって、
杉林の中の林道となります。その路肩にスミレの仲間らしき根生葉が点々と生えています。
まだツボミを付けていないので、咲くのは二週間後くらいでしょうか。
杉林を抜けて沢沿いの林道を上がって行くと、脇の細長い草地にスミレの白い花が幾つか
咲いています。「おや、杉林に生えていたスミレと葉っぱが同じだね。」
白い花は二週間前に観察したマルバスミレに似ていますが、葉が違いますね。
こちらの方が長く、先端が尖っています。
二枚とも2018.4.20撮影
周辺を探すと数株見つかりましたが、草地が狭いので多くは期待できません。
対岸の沢辺には小平坦地があり、いまは草地になっていますが、かつては田んぼか牧草地
だったものと思われます。飛び石伝いに沢を渉り、何かないかと探し回っていると、先ほど
の白い花のスミレが群生していました。
白花で唇弁に紫の筋があること、葉が長卵形で先が尖っていることなどからヒカゲスミレ
と思われます。今は日向になっていますが、若葉が茂れば木陰になり、沢沿いでやや湿り気
のある場所ですから、自生環境も合致します。
二枚とも2018.4.20撮影
スミレ科スミレ属の多年草で、北海道中南部~九州に分布するが、中部地方以北の太平洋側
に多い。草丈は10cm。山地の林内や、沢沿いのやや湿り気のある日陰~半日陰に自生する。
地下茎を伸ばして新苗をつくるので、しばしば群生する。
地上茎はなく、根元から葉と花柄を出す。全体に軟らかい開出毛が多い。
葉身は三角状卵心形で長さ4~7cm、先端はやや尖り、基部は心形。縁に低い鋸歯がある。
質は薄くて柔らかい。葉柄は長さ5~10cm、翼は無い。
果期には葉が大きくなり、葉柄も伸びる。
花期は4~5月、 高さ5~12cmの花茎を伸ばして、直径2cmほどの白花を咲かせる。
唇弁と側弁には紫条が入り、ふつう側弁基部に毛が密生する。
距は太めの円柱形で長さ7~8mm。雄しべは5個、雌しべは1個。
萼片は広披針形で、基部の耳は2~3裂し、縁に短毛が並ぶ。
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