里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

カラタチ 薬効の高い果実

2017-03-24 | 日記
花泉町永井地区北部の集落道を歩いていると、黄色い実がたくさん生っている小高木
がありました。小高い山の斜面に生えている木で、その上にはお屋敷が建っています。
このあたりの農家は殆どが段丘上や山の中段に建っているので、昔はたびたび洪水
に見舞われた地域なのでしょう。
初めはユズの木かと思っていましたが、樹下で確認すると、凹凸の無い真丸な実で
すからカラタチですね。見上げる枝には剛直なトゲが無数に生えています。

かつては民家の生垣として植えられていたカラタチですが、今は殆ど見かけなく
なりましたね。トゲの多い木ですから、悪意ある侵入者を防げると考えたのでしょうか。
そんな生垣のカラタチしか見たことがなかったので、この木のように5mはあろうかと
思われる大木には驚かされます。




                             二枚とも2015.10.4撮影

ミカンやダイダイなどの実とともに、カラタチの実も生薬として利用されていて、
未熟な果実を乾燥させたものを生薬名で枳実(きじつ)と言いいます。
健胃作用があり、胃腸のぜんどう運動を活発にし、子宮収縮力を強めたりもするようです。
また、抽出液は体脂肪を燃焼させるので、ダイエットに効果があるとされます。
生の実を風呂に入れて浴料にすると、体を温め血液の循環を促進する効果があります。

柑橘類の果皮などに含まれているリモネンやオーラプテンという物質には、発がん抑制
作用があるようです。ただし果肉には殆ど含まれていません。
リモネンはがん細胞の増殖を抑制しますし、オーラプテンには発がん物質の解毒・排泄
促進作用があるようです。オーラプテンの含有率が突出して高いのはカラタチと言われて
いますから、前述の「枳実」や皮を干した「陳皮」を利用したり、果実酒として楽しめば
がん知らずの健康体でいられることでしょう。


                                 2015.10.4撮影

ミカン科カラタチ属の落葉広葉樹で、樹高2~4mの低木。
原産地は中国の揚子江の上流域で、 日本へは8世紀ころに渡来。
柑橘類の中では最も耐寒性があり、東北南部や北陸でも結実する。
樹皮は灰緑褐色で筋状の溝ができる。枝は緑色で稜角があり、長さ1~6cmの
扁平で鋭い刺がある。 棘は葉が変化したもの。
葉は互生し、3出複葉で小葉は倒卵形~長楕円形で長さ3~6cm、縁には
細かい鋸歯がある。葉柄は長さ1~2cmで、翼がある。
花期は4~5月で、葉の展開前に、葉腋から花柄を出して白色の5弁花を付ける。
花の直径は3.5~5cm、花弁の付根側が細く、花弁の間が大きく開いている。
果実は液果で直径3~4cmの球形、秋に黄色く熟して芳香がある。
表面には細かい毛が密生し、ベルベットのような手触りがある。
果実には種が多く、また酸味と苦味が強いため食用には向かない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿