里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ハッカ 耕作放棄田に群生

2017-10-03 | 日記
気仙沼市本吉町の西部、一関市の大籠地区に程近い所に耕作放棄田が6~7枚
あって、その最下段の田に分け入ると、薄紫色の花を付けた植物が群生しています。
しゃがみ込んで観察すると、在来種のハッカの花ですね。
ただ、花は茎上部の1~2段に咲いているだけで、ほかは既に萎れていますから、
花の盛りは1~2週間前だったと思われます。
葉を一枚千切って揉んでみると、爽やかなハッカ臭が漂います。
オランダハッカなどより、甘さや雑味のないスッキリした香りです。

県内各地の山野でハッカ(和種ハッカ)に出合います。
南三陸町歌津地区の耕作放棄田、気仙沼市本吉町の津波被災跡地、涌谷町の江合川
河川敷など。これらが自生種なのか、かつての栽培種が逸出したものかは不明です。
そもそも、ハッカが我国の在来種なのか、古い時代に中国等から渡来した史前帰化植物
なのか、それさえはっきりしないようですからね。




                        二枚とも2017.9.30撮影

ハッカはミント類の中でもメントールを最も多く含んでおり、特に日本産のハッカは
含有量が多く、かつては精油を採るために各地で大量に栽培されていました。
収穫したハッカは蒸留してメントールとハッカ油が精製され、日本から世界各地に輸出
されていました。

栽培は江戸時代に岡山ではじまったとされ、その後明治時代には北海道でも栽培が
始まって、昭和の初期には一大産地となり、戦前には世界生産額の大部分を日本産が
占めていたと言われています。1960年代にメントールが化学合成できるようになると、
栽培は急激に衰退していきました。
ハッカ栽培の中心地だった北見市には、北見ハッカ記念館があります。


                            2017.9.30撮影

シソ科ハッカ属の多年草で、北海道~九州に分布し、草丈は30~60cm。
日当たりの良い湿地や耕作放棄田、河川敷などに自生し、全草に芳香がある。
地下茎を横走させて繁殖し、しばしば群生する。茎は方形で、多少軟毛がある。
葉は対生し、葉身は楕円形~皮針形で長さ2〜8cm、両面にまばらに毛がある。
短い葉柄があり、先端と基部共に尖り、縁に鋸歯がある。
花期は8〜10月、花は茎上部の葉腋に付き、輪状に淡紫色の小花を多数を咲かせる。
萼は5裂し長さ2.5mmほどで毛があり、裂片は狭3角形で鋭く尖る。
花冠は長さ4〜5mm、筒状の唇形花で上裂片は2裂、下裂片は3裂する。
雄性期と雌性期があって、雄しべは5mmほどで、花冠から飛び出て目立つ。
果実は分果で黄褐色。やや扁平な楕円形で、長さ0.7mmほど。







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